令和3年度 調布市立図書館利用者懇談会(第2回)報告

  • 1 日時:令和3年11月25日(木)午後2時から3時まで
  • 2 会場:文化会館たづくり10階 1001学習室
  • 3 テーマ:「コロナ禍の図書館活動を振り返って」
  • 4 参加者:調布市立図書館利用者3人、図書館職員8人
  • 5 内容(要旨) 

(1)館長挨拶

 本来ならば、この懇談会はもっと大々的にやるべきところだが、企画した時はまだコロナがまん延している状況で人数を絞る形での開催となった。図書館の状況としてはまだまだコロナの影響があり、今年度に入っても制限を加えながら運営している。しかし、今月に入ってから図書館の各フロアーともに利用者もかなり増えてきた様子で、一日も早く以前のように利用していただければと思う。
 利用者の皆様からいろいろなご意見やお話を伺えればと思う。

(2)コロナ禍の図書館活動を振り返って

 昨年度の新型コロナウイルス感染症をめぐる国の動きや、全国の図書館の対応を紹介し、調布市立図書館におけるサービスの状況や変遷を説明した。
自粛を余儀なくされた昨年度から今年度、普段から利用されていた方々にも図書館の判断や動きは見え難く、今回の報告により深い理解を得られることとなった。

(3)調布市立図書館事業報告・計画について

 「令和2年度調布市立図書館事業報告」及び「令和3年度調布市立図書館事業計画」の概要を説明をした。
 

(4)参加者自己紹介

○=利用者、●=図書館

○図書館はよく利用させていただいているので、コロナ禍の間、普段利用していた5階の統計関係の資料が使えなかったのがとても不便で困った。
○みんなが読む本を複数冊買っているが、それに対し一部の人が必要な本(多少マニアックな本)との購入の兼ね合いはどうなっているのか。自分が探すときは望む本がないことがあり、もちろんリク   エストはしているが、その選ぶ基準を知りたいと思っていた。値段や発行部数(希少)などが入手しにくい理由なのか。 
●日々出版される本が届く中で4分野に分けて選書をしているが、もちろん人気の本は押さえつつも、確かに一部の人が必要な本はそんなには入ってこない。選びにくいかもしれない。
●職員の若返りもあり、選定する力の不足も正直あるかもしれないが、出版される本自体もタイトルが増えている状況がある。似たような本の中から何を選ぶのかどれを選ぶのかの選定力が必要とされている。
●リクエストについてもすべてに答えて購入するのは不可能で、その中でも調布の図書館でよく使う本、この地域に残さなければならない本は優先される。
●もう一つ、保存スペースがなくなってきているという大きな問題がある。いままで保存していたものを除籍しなければならず、その選定も行っている状況である。
●刷り部数と値段が連動することはあるが、必要な本については粘り強く言っていただけるとありがたい。
●図書購入費予算については確かに以前より減っていて、限られた予算の中でやっているが、調布の図書館は近隣から比べるとまだ多い方である。
 
○個人的な希望だが統計・年鑑など個人レベルでは持てないものをぜひ揃えてほしい。 
●統計類はデータのデジタル化公開が主流となり、ネットで見てくださいという流れになっているので、紙ベースで出版されなければ図書館でも揃えるということはできない。
  
○大学で図書館情報学について調査、指導をおこなっていた。7年前に退職し、調布の図書館に通っていた。
○読書バリアフリー法に伴い、放送大学で動画を作成した時には調布市立図書館の障害者サービスのことも紹介した。
○横浜在住なのでコロナ禍の時は外出自粛で全く来られなかったのがつらかったが、先程の説明でコロナ禍の時の図書館の様子が克明にわかった。
○開架が利用できるようになってからも、1時間という利用制限は、遠くから電車に乗って調べものや利用に来ている側にとってはかなり厳しいと感じた。
○先程の話にもあった政府情報の統計などのデータは使いにくいので、司書の助けがあるとアクセスしやすいと思う。
○レファレンスサービスや障害者サービスはコロナ禍でどうだったのか聞きたい。 
●統計データに関してはオープンソースになっているものなので、自身で読み解いてくださいという体裁になっている。そこに図書館職員が関わっていくということだが、時代の流れは自身でやってくださいという方向になってしまっている。
●レファレンスは資料提供ができなかったのでしばらく休止していたが、待ってもらえるものについては受付だけをして職員が調べていた。障害者サービスは宅配を休止し、音訳・点訳協力者のみなさんも調整に図書館に来られなかったので、サービスは低迷していた。その後少しずつ再開している。

○週4~5回は利用している。スタッフの応対がすばらしく、お礼を伝えたい。
○東京都は恵まれていて、他市図書館からの借り受けも利用できてありがたい。効率のいいシステムになっている。この会場に来る前にも本の検索を頼んだら、地下書庫にあって5分も待たずに手にすることができた。みなさん、一生懸命働かれている。
これからもよろしくお願いします。

(5)懇談会  

○=利用者、●=図書館

○単行本が発行されてから文庫化や新書化されるが、どのくらいの割合で文庫や新書を購入しているのか。 
●出版傾向が変わってきていて、単行本化されずに最初から文庫や新書の形で出版されるものや、単行本がすぐに文庫本になって出版される事が増えてきている。一定の利用が見込めれば購入していくが、比較的単行本よりも、文庫や新書の割合が増えている印象がある。1刷で終わってしまうことも多く、加えて単行本の刷り部数も減っていて、入手しにくい状況となっているかもしれない。
図書館は出版されれば発売部数に関係なく情報は来るので、その中からその本の価値を見て選んでいる。文庫だから新書だからといって購入しないわけではない。
 
○リクエストの、買う場合と(他市などから)借りる場合の分岐点については。 
●同じ内容の本ばかりが溜まってしまうのも困るので、取捨選択をしている。調布にコレクションしておくべきものであるかは考慮する。
●岩波書店等の買切りはその時に買わないと入手できなくなるため、一定の基準はあるが基本的に買っている。ちくま新書等決まった銘柄は選書せずに継続的に買っている。1日に100~200冊の出版があるので継続的に買うことによって選書の効率をよくしている。
 
○基本的に購入するのは新刊なのか 
●リクエストされて調布にあった方がよい本は、入手できれば古い本であっても購入している。新刊時に見逃してしまった場合、リクエストで気づかせていただいている。
 
○何を選ぶかは図書館の場合千差万別で、利用の多いものは買うと決まっている図書もあるが、それも一つの基準だと思う。あと、岩波書店はみんな買うというのはなぜか。 
●買切りは押さえないと買えなくなってしまう。以前は、岩波教養主義と言われたように「この出版社を押える」というやり方もあったが、時代と共に出版傾向も変化している。選書も変えていかなければならないと感じている。コロナ禍で中堅出版社の廃業など出版自体の未来への不安や難しさがある。
 
○電子書籍の導入は検討されているか? 
●導入できればと思う。周辺の図書館も導入してきてるので、予算の関係もあるがいずれは導入したいと考えている。
●電子書籍も今は7割くらいがマンガだが、出版社が図書館をマーケットとしてより力をいれてくれればタイトル数も増えると思う。

(6)副館長挨拶  

 貴重なご意見をありがたく感じた。本当に図書館を思っている皆さんのご意見を業務へも活かしていきたいと思う。