マンガ資料
調布市立図書館マンガ資料収集等に関する方針
1 目的
調布市立図書館では、平成6年に “漫画という表現媒体であるというだけで選定から排除しない”という方針を決定し、平成12年から本格的にマンガ資料の収集を開始した。
「調布市立図書館マンガ資料収集等に関する方針」は、マンガ資料の図書館資料における位置付けを明確にして、収集範囲及び選定における事項を定める。
2 収集の範囲
- (1) マンガ表現そのものを楽しむことを目的に製作されたストーリーマンガ(以下コミックという。)、風刺マンガなどで、ひとコマないし数コマで表現されているもの。
- (2) マンガ及び漫画家に関する評論・研究書・伝記など
- ただし、特定の作品のみを扱った評論などは、原作を購入していない場合は原則として収集しない。
- (3) 次のものは収集対象から除外する。
- ア 主に児童を対象とした学習マンガ・実用マンガ
- ただし、児童書として必要なものは、児童分野の担当が選定し、収集する。
- 例:『まんが きょうりゅうのひみつ』『まんが 野球入門』
- イ 大人を対象として、マンガという表現方法を用いている実用書、コミックエッセイなど
- ただし、特定の主題を持つと考えられるものは、当該分野の担当が選定し、収集する。
- 例:『マンガ日本経済入門』→332.1
- 『ゴーマニズム宣言』シリーズ→304ほか
- 『毎日かあさん』→599
- ウ 原画集、イラスト集、ファンブック、原作のダイジェスト版
- エ 月刊・週刊などの雑誌、原作とは別に廉価版として刊行されたペーパーバックなど
- ア 主に児童を対象とした学習マンガ・実用マンガ
- (4) 前号の規定にかかわらず、名誉市民である水木しげる氏に関する資料、つげ義春氏など調布市ゆかりの作家に関する資料、調布市が舞台となっている作品については、収集の対象とする。
3 選定の方針
出版形態が多様であること、視覚的効果が高いこと、幅広い年齢層が手に取れる資料であることなどを考慮し、次のような基準に照らして資料的価値を重視した選定を行う。
- (1) 名誉市民である水木しげる氏に関する資料は、マンガ資料担当と地域資料担当が連携し、可能な限り収集する。そのほか、つげ義春氏など調布市ゆかりの作家に関する資料や、調布市が舞台となっている作品は、可能な限り収集する。
- (2) 日本のマンガ史上重要とされる作品、各時代を代表する作品など、資料的価値の高いものを中心に選定する。
- (3) 原則として刊行がすでに終了しているものを収集対象とする。ただし、刊行が始まって15年経過し、すでに評価が定まっているものについては、刊行途中でも収集対象とすることができる。
- (4) 定評ある作家でも名前だけで選ぶことはせず、個々の作品について選定する。
- (5) 映画資料コレクションとの関連を考え、映画の原作になったものには留意する。
- (6) 演劇などほかの芸術領域に影響を及ぼしているものには留意する。
- (7) テレビアニメやテレビドラマ等の原作になったとしても、社会的評価や資料的価値と直接結び付くとは言えないため、それだけで選定の理由にはしない。
- (8) 最初に発表されたメディアの種類によって選定対象から除外することはしない。
- (9) マンガの視覚的な特性を考慮し、選定の際は次のことに留意する。
- ア 暴力及び性表現の露骨なものは慎重に選定する。
- イ 反社会的・非道徳的な事柄を扱っているものは慎重に選定する。
- ウ 人間や生命の尊厳を脅かすもの、人権侵害・差別について配慮を欠くと認められるものについては選定の対象から外す。
- (10) 分館では中央図書館で選定したものの中から各館の状況に応じて収集する。
4 提供について
- (1) マンガ資料は児童・青少年の利用が多く見込まれるため、資料の視覚的特性を考慮し、暴力及び性に関する露骨な表現がある作品については、教育機関としての配慮から閉架に保存することができる。ただし、この措置は、利用対象の制限を意味するものではない。
- (2) 次の理由により、所蔵していないコミックのリクエストは受け付けない。
- ア コミックは、購入ルートが特殊である上、品切れ・絶版・改版が多く、特に多巻ものは全巻を入手することが困難な場合が多い。
- イ レンタルコミック業界に対する著作権者保護の動向には、図書館としても配慮が必要であるため、リクエストや予約者の数を購入の判断基準にはしない。
- (3) 前号イの理由により、コミックの最新刊は、発売後最低1箇月以上経過してから受入れを行い、現在話題になっているものについては、受入れ時期に注意する。
- (4) 多巻ものでその内容が続いている場合は、中央図書館ではセットにすることができる。
- (5) マンガ資料の複本数は資料的価値・予算・書架スペースなどから判断し、原則として中央図書館で最大5冊まで(セットは3セットまで)とする。ただし、水木しげる氏、つげ義春氏に関する資料などについてはこの限りではない。
5 保存・除籍について
- (1) マンガ資料は製本が堅牢でないものが多い上、利用が多く傷みやすいので、汚破損の激しい資料は除籍を行い、必要なものについては補充する。ただし、品切れ・絶版が多く、補充が困難なものが多いため、除籍の際には留意する。
- (2) 第3項第1号に掲げる資料は、マンガ資料担当と地域資料担当が連携して可能な限り保存する。
- (3) 映画の原作になったものについては、映画資料担当と協議の上、保存を検討する。
平成24年7月10日
令和5年3月31日 改訂