令和5年度 調布市立図書館利用者懇談会(第2回)報告

  • 日時 令和5年11月30日(木曜日)午後2時から午後3時30分まで
  • 会場 佐須分館 おはなし室
  • テーマ 図書館で「読める」をサポートします!
  • 参加者 調布市立図書館利用者2人、図書館職員7人
  • 内容(要旨) 

(1)館長挨拶

 本日は大変お忙しい中、ご参加いただきありがとうございます。
 利用者懇談会は平成13年から約20年以上継続しながら、続けております。目的といたしましては、日頃から利用されている利用者の声を運営に活かすこと。図書館のサービスについて、なかなか理解が深まってないところを説明し、理解促進も併せて行っているところです。
 本日は『図書館で「読める」をサポートします』ということで、利用支援のサービスについてご案内させていただきつつ、日頃から思っていることやご意見、ご要望などを広く伺えればと思います。ぜひ忌憚のないご意見をいただきたいと思います。

(2)図書館で「読める」をサポートします!

図書館で所蔵しているマルチメディアデイジーの実演を交えながら、図書館を利用することや本を読むことが困難な利用者へ向けたサービスについて、子ども向けのサービスを中心に資料を用いて説明した。

(3)調布市立図書館事業報告・計画について  

「令和4年度調布市立図書館事業報告」を用いて、新型コロナウイルス感染症状況下での実施事業の内容や利用状況などについて説明した。また「令和5年度調布市立図書館事業計画」を用いて、運営方針や主要事業をはじめ、各事業の計画や目標、施設整備などについて説明した。

(4)参加者自己紹介

○=利用者、●=図書館

〇定年退職後に佐須分館をよく利用している。昔は怒鳴る利用者をよく見かけたが、最近は少なくなったと感じている。
○約20年前に佐須町に引越し、現在はフリーランスで物書きをしている。よく本を購入するが、家の棚にすぐに入れてしまってなかなか読まないことがあるが、図書館の本は貸出期限があるため、読む意識がついて良いと感じて利用している。

(5)懇談会

○過去に利用者懇談会に参加したことがあるが、その時に10分以内に図書館があると聞いたことがある。
●小学生が歩ける距離に1館ということで、1小学校区と半径800メートル圏内に図書館を配置した。

〇私の孫が、新聞や本をあまり読んでない印象があり、読んでもらう仕組みが大切と感じている。最近の若い方の利用頻度はどうであるか。
●現在、中学生・高校生が来館を促進する取り組みを検討している。小学校低学年は保護者と来館されるが、小学校中学年になると忙しくなり、中学生・高校生になるとだんだん利用が減り、大学生・社会人になると来館しなくなる。中学生・高校生に来館する習慣をつけることで、大人になっても図書館に行ってみようという気持ちになると思う。そのため、中学校への訪問や高校の図書館の先生と連携し、中学生・高校生のヒアリングやアンケートを用いて、どんな図書館を求めているのかを聞いている。それを反映し、図書館の環境整備を整えたいと考えている。

○オランダのゴッホ美術館でも若い方の利用頻度が少なく、利用促進のため日本のキャラクターのピカチュウとゴッホを絡めたイベントを行い成功した事例がある。図書館では難しいとは思うが、同様のことをやるのもよいのでは。
●これまでの発想を変えて取り組んでいかなければならないと考えている。

○有名なIT関連の創業者は専門的な分野であるが、本をたくさん読んでいる。彼らの発想は読書の積み重ねからできていると思う。そういうところから、本を読むことは大事だと考えている。

●最近は不登校の児童が多くなっている。そのような児童に図書館がサードプレイスとして来やすい場所になるように考えている。

〇サービスを拡大するためには、予算の問題がある。静岡県のある市では、市民の持ち寄りで本を持ってきて、月2000円で棚を借りて、市民に貸し出しをしているのをテレビで見た。市民がお金を持ち寄って、図書館を運営しないといけない地域も出てくるのではないかと思った。

〇高齢者の利用は、コロナ前は自習のために来館されている印象があった。

〇高齢になると目が悪くなってきて、そろそろ大きな文字の本を利用しなければならないかなと思っているが、もっと目が不自由な方がいらっしゃる。サービスを広げれば広げるほど、行うことがいっぱいになる。どこまで広げればよいかという問題が出てくると思う。

〇週一回スポーツクラブに行っているが、スポーツクラブは高齢者の利用でいっぱい。体だけでなく頭も鍛えなければならないと思っている。スポーツクラブの近くに学童クラブができていて、親子連れがスイミングスクールに行っているので、うまく提携するのも良いと思う。
地域貢献として、図書館にスペースを提供することを企画してもらうのもよいかと思う。

〇中央図書館4・5階の新刊本の中には、マニアックな本があるが、限られた予算の中で本を選ぶ基準は。
●中央図書館は分館と比べて書庫が大きいので、専門的な本や研究向けの本を購入している。利用者のリクエストを参考にしつつ、過去の所蔵状況や傾向を踏まえて、購入している。全ての利用者のリクエストに予算上応えられないが、リクエストをしていただけることは、市民に調布の蔵書を作っていただいていると思っている。それによって、蔵書の幅を持たせることができる。購入できない本は、都立図書館から取り寄せを行う。また、協力貸出のこれまでの回数を見て購入をすることもある。
●専門的、高価なもので図書館として入れるべきものがあると判断し購入しているものもある。

〇図書館の購入するための予算は増えているのか、減っているのか。
●図書購入費については増えてない。施設整備の費用があるため、他の予算の要望を全て叶えてもらうことは、難しい。

〇施設の老朽化は必ずあるので、整備は避けられないと思う。
●都内の自治体でも、人口減のため小さな図書館は閉めているところもある。人口減により都内の自治体で財政状況の格差が起きていることによると思うが、調布市では人口減もなく、恵まれているほうだと思う。

○日本全体を見ると図書館を民営化にする動きがあると思うが。
●図書館の民営化については、東京23区では民営化は進んでいるが、多摩地区は進んでいない。直営と委託の費用を比べると、それほど変わらない。委託費用は人件費がかかる。そのため委託ありきで進めることはしない方がよいと考えている。

●先程、子どもたちが本を読まないという話があったが、小学校・中学校では朝読書などを行い、読書する時間を設けている。また、昔と比べて学校に学校図書館があり、本を充実させている。学校では本を読むが、家では本を読まない状況がある。コロナでの巣ごもりもあり、人の関わりが少なくなり、外に出なくなっている子が多い。昔は中学生になると不登校が多かったが、今は小学校低学年で不登校になる子が多い。これは市でも大きな課題にもなっており、そのような子に図書館で過ごしてもらうような習慣づくりができればよいと考えている。
先程、高齢者の利用が多いともあったが、可能であれば多世代の方が来館され、好きであるかそうではないかはあるが、世代間交流ができる公共施設になれればよいと思っている。

〇高架下資料保存庫が今後使えなくなるため所蔵本を減らしているとの説明に関して、図書館を利用した際にリサイクル本を見るが、こんな貴重な本を出していいの?と思うような関心のある本がでていることがある。リサイクル本のように捨てないで、売却するのが良いのではと思うのだが、考えていないのか。
●リサイクル本を転売されている現状があるが、図書館では推奨をしていない。
●図書館の棚も限りがあり、また古い資料の更新などを行い、書架を新鮮にする必要がある。図書館の本は市民の財産であるので、役目を果たした本を市民に還元し役に立ててもらいたいために、リサイクルを行っている。

〇中央図書館と分館での本のローテーションをしているのか。
●基本的に中央図書館と分館でそれぞれ所蔵している。分館所蔵の本で調布に1冊しかないものを、中央図書館に送る場合がある。
●展示などで時期を区切って本の所蔵館を変える場合もある。各図書館には司書がいて、それぞれの地域や市民のニーズなどに合わせて本を選んでいる。ローテーションを行っている自治体もあり、例えば多摩市では、本を借りた図書館と違う図書館で返却した場合、返却した館がその本の所蔵館になるようにしている。

〇本の万引きは多いのか。
●本の紛失はある。万引きなのかそうではないのかは分からないが、なくなった本の冊数については、蔵書点検後の報告書の掲示や、『数字で見る図書館活動』で報告している。盗難防止のため、ポスター掲示を行っている。分館も盗難防止装置を設置したいが、予算上、難しい。

〇分館の蔵書点検の時期は。
●時期をずらして全分館の半分の館が6月頃に2週間休館して行う。

〇調布市の図書館は東京都の多摩地区の他市と比べて、運営の規模は。
●蔵書数で比べると、1位は八王子市、2位は府中市、3位は調布市となる。
人口一人当たりの所蔵数など見方によって順位がかわってくる。