平成26年度ハンディキャップサービス利用者懇談会事業報告

1 日時

平成26年11月5日(水)10時から11時30分まで

2 場所

文化会館たづくり6階601・602会議室

3 出席者

利用者7人、音訳者8人、点訳5人、図書館職員11人

4 懇談会内容

  • (1)出席者紹介
  • (2)館長挨拶要旨
    先日,全国図書館大会という集まりがあって,障害者サービスの分科会に出席しました。著作権法が整備されて,音訳図書やマルチメディアDAISYが作りやすくなっているという全国の状況や,視覚障害の方がどうやってipadを使うのかということを見せていただいたりしました。また,別の分科会では電子書籍についての話もあり,調布の図書館として今後どうしていくのか,皆さんのご協力の中で何をしていけるのかを考えていかなくてはならないと思っています。今日は,皆さんのお話を伺いながら,それも参考にさせていただければと思います。
  • (3)SPコードの実演
  • (4) 利用状況についての報告

5 利用者からのご意見・ご質問等要旨

○=利用者、●=図書館

  • ○視覚障害者用に便利なものが出されているが,使いこなせていない。私はハンディキャップサービスでテープ図書を借りている。「オカリナ通信」の新作情報を聞き,そこからタイトルを選んでいる。「文藝春秋」を楽しみにしている。
  • ○点訳と音訳を利用している。点字は読めるが,早くはない。点訳は必要なところを読ませていただいている。また,サークル活動をしていて,その案内などの点訳をしていただいている。館長が挨拶でお話されていたパソコンやipodは情報をダウンロードなどしているが,あまり活用はできていない。英会話の勉強をしている。これまでは英語点訳を学んだ講師に来てもらっていたが,その方が来られなくなったので,その関係でまたハンディキャップサービスにお願いすることがあるかもしれない。
  • ○特定の作家を出版年順にというようにお願いしてDAISYを聞いている。ほかにもおもしろい本があればリクエストしている。以前はあまり本を読まなかったが,プライベート音訳してもらってから本を読むようになった。平成24年からトータルで1,000タイトル以上は読んでいる。サピエ図書館が充実してきているので,自分でそこから常に用意しているが,シリーズものを順番に聞きたいときや,サピエにないものを聞きたい時などは図書館にお願いしている。点訳は時刻表などをお願いしている。また,調布市障害者福祉協会として,総会の資料などの点訳もお願いしている。一番うれしいのは,調布市立図書館の音訳者が3年連続で鉄道弘済会の表彰を受けていること。調布の音訳者のレベルは本当に高い。点字は中途失明なのですらすら読めるわけではないが,あると便利だと思っている。テープで聞く人が一人でもいればそれに合わせてサービスを展開しようという調布市立図書館の姿勢を評価している。
  • ○目は少し見えている。テーブルの上に資料が置いてあるというのがわかる程度。
     私はハンディキャップサービスの利用者懇談会に出席した際に,福祉センターで行われている視覚障害者用のセミナーを紹介してもらったのがきっかけで,活動を広げていった。今は毎日出歩いていてゆっくり読書をする時間はないが,「オカリナ通信」や目録で聞きたいと思ったものはメモをしている。時間ができたら読んでみたい。これからも利用者懇談会に出席させていただきたいと思っている。
  • ○目がだいぶ見えなくなってきている。今はやることがたくさんあって本を読む時間がない。絵を描いていて,画集を出版したが,それに点字を付けてもらった。杏林大学病院で絵の展示をしている。
  • ○娘がディスレクシア。マルチメディアデイジーを借りている。自分自身も調布デイジーを作って活動している。
  • ○お世話になって10年以上経つ。感謝しかない。対面朗読を毎週利用している。
    医者に行って心臓の具合が悪いと言われたとき,ハンディキャップサービスで心臓の図を立体コピーしてもらって位置などを教えてもらった。そのような技術も図書館はもっているのだと思った。
    対面朗読を利用しているのは,点字が読めないことが理由の一つ。対面では辞書を引いて,単語の意味を教えてもらえるのがうれしい。最近,「スコッチウィスキー」という単語を調べてもらった。「スコッチ」という単語単独で使用することを,当のスコットランド人は嫌がるということを辞書を引くなかで教えてもらった。
    英語辞典の音声版があれば教えてもらいたい。たとえば,「apple」という単語について,ひとつふたつでもいいので意味を調べることができる,そのような音声版の辞書がないか。単語の意味をそれぞれひとつずつでもいいので図書館で音訳して,音声版の辞書を作っていただくことはできるか。季語の事典を音訳してもらったという方がいたので。
  • ●パソコンの英和辞典ではだめか。量が膨大でも,季語の事典は書いてあるものを読むだけだった。英語の辞典となると,発音の問題や,内容をどこまでとるかということも出てきて非常に難しい。たとえば点訳データを作って,そのデータを読み上げソフトで読み上げさせることは可能。その場合,つづりと意味を読み上げることはできるが,単語の発音には対応できない。デイジーで英語辞典を作るというのは難しいが,ご希望にかなうような何らかの方法がないかをご相談しながら考えていきたい。
  • ○音訳の過程をおしえてください。
  • ●利用者の方からリクエストがあったら,図書館が本をオーダーする。それが手元に届いたら,誰が読むか探す。音訳者は本を受け取ったら,下読みをする。どんなことが書かれているのか,読み方はどうなのか,アクセントはどうなのか辞典等で調べ,印をつける。実際の読みの作業は3~6か月ぐらい。ただし個人差がある。できあがったら校正に回す。校正の担当は間違った読みを調べて指摘する。また音訳を聞いて,図や表が理解できるか判定する。校正後は元の音訳者に戻して直しの作業を行う。音で表現するのが難しい本もある。伝わらない場合は,仰ってください。

6 音訳者・点訳者からのご意見要旨

・=音訳者・点訳者、○=利用者

  • (1)音訳者
    • ・これだけはやめてほしいという音訳はあるか。
    • ○関西系の発音はやめてほしい。イントネーションが大事。調布のものはいい。しいてあげれば,息継ぎが入っているのが改善されるといい。
    • ・私の声質は大丈夫か。
    • ○佳い声だと思う。
    • ・息継ぎは加齢によるものもある。DAISYに変わってから,息継ぎの部分も消去できるようになった。こんなもの頼んではダメかなというものも是非リクエストしてください。
    • ・たくさんDAISYを作成できるのも,利用者の方のご支持があるから。良い環境で音訳できることが喜びである。
    • ・みなさんにお目にかかれる機会は貴重だと思っている。もっとお会いできるチャンスが増えれば,あたたかいサービスになっていくのでは。
    • ・DAISYの編集をしている。これからも続けていきたい。
    • ・お話を聞いて励まされた。絵を描かれるという方がいらしたが,どんな絵をお書きになるのか知りたい。
    • ○孫が生まれたので母子の絵を描きたい。日本の風景や歌舞伎の情景が多い。
    • ・「オカリナ通信」の新作情報,他館新作情報を担当している。ご意見があったらいっていただきたい。
  • (2)点訳者
    • ・「ふくしの窓」,「市議会だより」などの点訳を担当している。
    • ・点訳の仕方のパターンを変えた方がいいか悩んでいる。
    • ○「ふくしの窓」は原本自体がそんなにおもしろいものではない。どうやったら視覚障害者にも楽しんでもらえるか社会福祉協議会も悩んでいる。どうしたらより楽しんでもらえるかということを考えて点訳をしてもらえるといいのでは。
    • ・わがままな希望も言ってください。それが質の向上につながる。
    • ・長く続けたい。

9 閉会挨拶

  • (1)館長挨拶要旨
     いろいろお話しいただき,ありがとうございました。障害と言うことで言えば,皆さん一人一人それぞれ違う。音訳・点訳の方々も,それぞれの利用者に対して何ができるかを悩みながら行っているということがよくわかった。難しいとは思うが,お互いに話し合いながらどうやっていけばよいかということを考えていければと思う。
     本日はありがとうございました。