平成27年度 調布市立図書館利用者懇談会(第1回)報告

  • 1 日時:平成27年11月5日(木)午後2時から午後4時まで
  • 2 会場:文化会館たづくり10階 1002学習室
  • 3 テーマ:「図書館DEマンガ」
  • 4 参加者:調布市立図書館利用者10人、図書館職員6人
  • 5 内容(要旨) 

(1)館長挨拶及び職員紹介

今回はマンガをどうやって選んでいるかということをテーマに設定した。このテーマにかかわらず図書館の全般的なことを話していきたい。

(2)「図書館DEマンガ」報告

調布市立図書館でマンガの収集を始めた背景や選定方針を、図書館の利用状況も踏まえながら説明をした。

(3)「平成26年度調布市立図書館事業報告」及び、「平成27年度調布市立図書館事業計画」について

「平成26年度調布市立図書館事業報告」「平成27年度調布市立図書館事業計画」の説明を行った。

(4)参加者自己紹介

○=利用者、●=図書館

  • ○図書館のホームページでどのような本が人気なのか見ることが楽しい。中央図書館、国領、染地分館を利用していて、4歳の孫の本を借りに行くことが多い。
  • ○何十年も前に娘には、マンガは良くないという育て方をした。しかし、娘たちのマンガを読んだら、私もすっかり魅せられた。手塚治虫の作品はほとんど読んだ。
  • ○デイケアに長く通っている。テレビを見てもすぐに忘れてしまう。マンガだけは自分の中に読んだ思いが残っている。
  • ○映画資料の整理ボランティアに携わって図書館に興味を持った。小学生のころ、少女マンガを読んでいたが、今よりシンプルで、読みやすかったように思う。長男は『マンガ日本の歴史』を借りてきて熱心に読んでいた。現在では大学で日本史を教えている。
  • ○アカデミー愛とぴあのお手伝いをしている。電車の中でマンガ雑誌を読んでいる社会人を見て少しがっかりする気持ちもある。孫はマンガによって、源氏物語を知ったということもある。
  • ○アカデミー愛とぴあに所属して、読書会に参加している。児童館でも絵本の読み聞かせのボランティアをしている。マンガが好きで目録に載っている『エースをねらえ!』(山本鈴美香著)、『赤胴鈴之助』(武内つなよし著)などは懐かしく、もう一度読んでみたいものがたくさんある。
  • ○マンガは好きで、目録に載っているものは結構読んでいる。マンガから学ぶことは結構ある。小説でわからなかったこともマンガでわかりやすく書かれていることがある。
  • ○小学校の図書室でボランティアをしながら、絵本が好きで読み聞かせをしている。マンガは親が買ってくれなかったため、マンガへの強い思いがある。子どもに勧めるマンガのリストの出版にも携わった。マンガセットが置かれたときはとてもうれしかった。
  • ○中学校の講師をしていた。子どもたちは、『はだしのゲン』(中沢啓治著)を我先にと争って読んでいた。マンガに抵抗があったが、その考えを変えていかなくてはいけないと感じた。読書会でマンガを取り上げてもいいと感じた。
  • ○私は、活字だから立派、マンガだから立派ではないという判断はしない。マンガで日本国憲法について理解を深めた人もいる。読んだ内容を理解するということについて、マンガだから良くないと軽く見るのは間違っていると思う。
  • ○映画の資料整理をするボランティアと「まちの資料情報館」に携わっている。小さいころは、マンガ雑誌を3誌買っていたこともある。マンガがアニメ化すると、原作のマンガのほうが面白いと感じることがあった。批判されつつもマンガは時代とともに成長するものだと思う。

(5)懇談会  

○=利用者、●=図書館

  • ○小さいころに学童用に出された夏目漱石の『坊ちゃん』を初めて読み、その後、岩波文庫を読んだ。小学生にとって、岩波文庫は難しい。岩波文庫を読む前に、学童用の本を読めてよかった。講談社学術文庫でイザベラ・バードを読んだが、マンガでも読んでみたいので、ぜひ買ってほしい。
  • ●そのイザベラ・バードのマンガの資料は一度調べてみる。わかりやすくした『坊ちゃん』は、文字・言葉の使い方の変更や、ストーリーの省略などが行われた本だと思う。それらにより、話の筋がしっかりと伝えられているかという点も重要になってくる。また、その人の受け止める力に応じたものが作られる時代になってきている。
  • ○図書館でマンガを選ぶことの最大のメリットは、購入する資料の基準があることだと思う。
  • ○『ポーの一族』(萩尾望都著)は、マンガセット目録の中にないが、図書館に入っているか?
  • ●マンガセットではないが、単品で図書館に置いている。図書館のマンガには、バッグに入れてセットで貸出しているものと、バラバラにして1冊ずつ本棚に並んでいるものがある。
    マンガセットにしているものは、5~6冊以上巻数が続くストーリーマンガである。ストーリーマンガを所蔵するにあたってどのように提供するか検討した結果、マンガセットを導入した。マンガセットは、カウンターで要望いただいて出納する。配付した目録はマンガセットのもので、単品で置いているマンガについては、目録はない。
  • ○マンガセットは、文庫本が対象となるのか?
  • ●そういうわけではないが、資料自体が大きいとバッグに入らないこともある。
    話は変わるが、マンガは視覚的にも訴える特性があるので、暴力の描写や表現が露骨なもの、反社会的・非道徳的なものなど、配慮を欠くものは選定から外している。その線引きは難しいところであるが、伝えたいテーマがあることが重要である。
    一昨年、『はだしのゲン』について、一部の暴力的な表現などから、学校の図書館に置いていいものかという話になった。一部の表現から伝わる印象だけで、収集するかどうか判断してはいけないと考えている。
    「自分の目で見て判断する」ために、図書館がその資料を所蔵することは大事であると考えていた。
  • ○ちばてつやの『紫電改のタカ』は所蔵しておいてほしい。
  • ●所蔵していないマンガの中には、絶版となり購入できなくなっているものがある。たまたま品切れとなっている可能性もあるが、絶版となり、マンガセットに欠本が生じた場合、セットとして出さないこともある。
  • ○『神聖喜劇』(大西巨人など著)は一度本で読んだことがあるが、難しくて読めなかった。読み手の少なかった名作をマンガにするのはうれしい。読書会で取り上げると、本とマンガと比較できて面白そうだと思った。
  • ○先ほど人気だと話していた『One piece』(尾田栄一郎著)は入っていないのか?
  • ●『One piece』はセットではなく、単品で置いている。マンガは刊行して15年すると選書の対象になる。『ガラスの仮面』(美内すずえ著)は長い間続いている。このマンガの終わりを待つとなると、いつまでも買えなくなってしまうので、単品で所蔵している。(調布市立図書館マンガ資料収集等に関する方針) 『ガラスの仮面』は音訳した録音図書も所蔵していて、セリフだけでなく、状況の説明もしている。
  • ○『フランス語概説』という本があるか問い合わせをしたが、カウンターでは、大学の教科書は置かないと言われた。
  • ●大学のテキストは、決して購入しないわけではないが、専門的な本まで用意することは難しい。専門的な領域に入っていくための基礎の本は、調布市立図書館では、持っていた方が良いと思う。 こちらの勉強不足ということもある。そのようなときにはぜひ教えてほしい。
  • ○レファレンスを利用することがあるが、必ず答えにたどり着く。探している本がない場合、ぜひ、レファレンスを利用してほしい。いつも図書館には感謝している。
  • ○資料の寄贈について、どのように考えているか教えてほしい。
  • ●資料の寄贈は、刊行後3年以内のものであれば、所蔵している資料との差し替えなどに使っている。それ以前のものは、資料の寄贈を受けても、図書館の資料として受け入れないことが多い。
    地域資料、調布・東京・映画に関する本については、手に入りにくいものもあるため、積極的に受けている。
    ご自身の学習に役立った本を寄贈いただく際は、「この本は役に立つ」など一言添えていただくと、こちらも参考にさせていただく。
  • ○復刊ドットコムのように児童文学の名作を限定で出すものも購入していってほしい。
  • ●図書館は多くの情報から資料を選びたいと思っている。今おっしゃったことは「図書館だより 2015秋 no.237」で紹介した選定とは、異なる流れになる。他にも、利用者からいただくリクエストを購入の参考にしている。
    図書館の蔵書のバランスをとるために、たえず蔵書の見直しが必要になる。そのような補正をしていくことも一方で行わなくてはいけない。 蔵書の見直しではないが、マンガはとにかく消耗が激しく、すぐに壊れてしまうというところもある。

(6)副館長挨拶

みなさんのマンガに対する気持ちなどを聞かせていただきありがとうございました。