平成24年度 調布市立図書館利用者懇談会(第2回)報告

  • 1 日時:平成24年11月22日(木)午後2時から午後4時まで
  • 2 会場:調布市立図書館若葉分館集会室
  • 3 テーマ:「図書館を使いこなそう」
  • 4 参加者:調布市立図書館利用者9人、図書館職員10人
  • 5 内容(要旨)

(1)館長挨拶

日頃、図書館を使っている方から、図書館をどのように使っているか、また図書館の使い勝手についてお話しいただきたいと思う。利用者懇談会を通じて、図書館の色々なサービスについて考える機会としたいと思っているので、どうぞよろしくお願いします。

(2)平成24年度事業計画・平成23年度事業報告

平成24年度事業計画と平成23年度事業報告を行う。

(3)大人の方へのおはなし会

  • ・布の絵本『まる』(ふきのとう文庫)
  • ・ストーリーテリング「あるだんなさんとおかみさんのはなし」(『おはなしのろうそく 6』(東京子ども図書館編 東京子ども図書館)より)

(4)参加者自己紹介

  • ○現在80歳。東つつじヶ丘に住んでいる。
  • ○若葉小学校で司書をして7年目になる。小学校では、たとえば国語の授業では、授業で習う作品以外に、同じ著者の別作品を読書させたり、関連する本を読ませたりなど、授業の流れが大きく変わってきている関係で、自校の蔵書だけでは対応できない部分がある。その部分を図書館にはお世話になっている。
  • ○神代団地に住んでいる。調和分館が近いのでよく行くが、若葉分館や中央図書館にも行っている。調布へ行くのには電車は乗らず、全部歩いて行っている。こんな会があるのを初めて知った。
  • ○若葉分館で書架整理と宅配、二つのボランティアをやっている。書架整理は週に一度、乱れてそうなところをやってほしいとのことなので、その辺りを整理している。元々司書教諭の免許状を持っていて、本を読むのはあまり好きではないが本の中にいるのが嬉しいので、ボランティアを始めた。私も調布まではここ最近歩いて行っている。
  • ○世田谷区に住んでいる。地域文庫で子どものおはなし会などに携わっている。調布市の図書館に来ることはないが、世田谷区とは全く違うのだろうと思い、ちょっと勉強させていただこうと思って来た。
  • ○同じ世田谷区の文庫で子どものおはなし会などをやっている。私は調布市に住んでいて、若葉分館が近いので、いつもメインに使わせてもらっている。わかっているようでわかっていないシステムなどがあるのではと思って、今日は参加させていただいた。
  • ○18年前に調布市へ引っ越してきて、その時は国領に住んでいた。途中でもう一度調布市内で引越しをして、今は世田谷区の上祖師谷に住んでいる。若葉分館が近いので、ここでカードを作って利用している。調布市に住んでいた頃から、近くの国領分館で子どもと一緒におはなし会に参加したり、子どもの本を読む会で、今この分館にいらっしゃる職員さんにも色々とお世話になったり、楽しませていただいていた。
  • ○世田谷区の文庫で、前の方と一緒に活動している。世田谷区に住んでいたが、去年の春頃に実家のある調布市に引っ越してきた。小学生の頃は、若葉小学校にいて、この図書館ができた当時はよく通っていたので、今回こういう会があると聞いて参加したいと思って来た。

(5) 意見交換

○=利用者、●=図書館

  • ○開架式の書架で本が読めたり探せたりするのはとても便利。アナログだが、そのアナログさ加減がいい。たとえばデジタルの辞書は、必要な言葉を入れるとその言葉だけしか出てこないが、紙の辞書であればめくっていく内に「おやっ」と思う言葉が見つかる。それと同じで、図書館もずっと見ていると、こんな本もあったのかと思いがけない本が見つかることがあるのが良いと思う。そういう見つけ方を皆さんにも知っていただき、もっと利用していただきたいと感じている。
  • ●先程、図書館サービスの説明を早足でしてしまったので、もう少し詳しく聞きたいことや、知らないサービスについての疑問などがあればどうぞ。
  • ○世田谷区の文庫では、保育園へおはなし会をすることもあるが、そのために布の絵本を借りることはできるのか。
  • ●布の絵本は5年前頃からたくさん集めるようになった。元々の目的は、何らか障がいのあるお子さんにサービスをするための適切な資料になるだろうということで収集を始めたもの。今のところは、対象を障がいのあるお子さんで限定させてもらっている。保育園や発達センター、特別支援学級などに貸出しはしているが、文庫の例はない。ご要望として担当へ伝えることはできる。
  • ○保育園の子どもたちは、小物とかを使うとすごく喜ぶので、借りられるとありがたい。
  • ●今日は一つしかお見せしていないが、中央図書館のハンディキャップサービスにたくさんあるので、お時間があればぜひ見てみてください。今年度の3月に布の絵本展示会も行う。
  • ○特別支援学級におはなし会をするということが前提であれば、借りることはできるのか。
  • ●今は団体貸出を市内に限っているので難しい。個人で借りてそういったところで利用するということは可能かもしれないが、担当と相談が必要である。
  • ○以前、世田谷区の図書館で子どもの本を読む会に入っていたが、そこで必要な本が世田谷区では揃えられなかったので、調布市の図書館にお願いして私個人に10冊貸していただいたことがある。そういったサービスは普段からお願いすればやってもらえるのか、それともあの時一回限りだったのか。
  • ●個人貸出しの場合、一人で同じ本を複数借りるということはないので、考え方としては特別な貸出しとなる。いつでも可能かというと、ケースバイケースになると思う。同じ本を複数貸出するということは、本来団体貸出でやっているが、今調布市では市外の団体へ貸出しはしていないので、世田谷区の文庫に団体貸出をすることはできない。
  • ○その時は事情を説明し、できれば貸してもらいたいとお願いしたところ、当時この分館にいた司書さんが中央図書館と相談してくれ、あまり貸出されない本だからいいだろうという感じで貸していただいたが。
  • ●仰られたように、本によっても判断する。最近あまり読まれないが良い本というものも残っているので、その本を皆でもう一度学びましょうといった時には貸出す場合もある。しかし、新刊を貸してほしいと言われた場合はお断りする。それは団体貸出の場合も同じ。実は同じようなケースは多いが、ルールとして絶対に貸出しする、あるいはしないということが決まっているわけではないので、一回一回判断していくしかない。そのため、希望があれば相談してほしい。
  • ○平成24年度事業計画の中の、資料の収集方針についてのところに「資料の保存場所を確定し」と書いているが、もう確定したのか。
  • ●なかなか確定できない。調布市の図書館の収蔵スペースが足りなくなっているので、新しい保存場所がほしいと考えている。
  • ○別に保存場所を作るということか。
  • ●今、実際には図書館の書庫である場所をほかの部署も使っているので、そこをもう一度図書館で使えるようにしたいという考えもある。図書館が置いておける本の冊数は、計算すると109万冊だが、今所蔵している本の冊数は、雑誌も含め130万冊以上ある。本の大きさがまちまちなのと、借りられている分があるので計算とは少しずれているが、ほとんど満杯の状態。
  • ○実篤記念館を利用させてもらっている。記念館では色々な実篤に関係する本が展示されているが、借りることはできない。同じ本は図書館にも置いているのか。
  • ●実篤記念館は、実篤自身が持っていた蔵書や、実篤が書いた書画や書簡などの、博物館の展示品のようなものとして持っている本と、実篤全集のように実篤に関する本と、大きく分けて二種類の本を持っている。二つ目の種類の本であれば、全てではないが図書館でも所蔵している。記念館の資料を図書館から貸すことはできないので、もし読みたい本があればメモしていただいて、図書館で調べてみてほしい。
  • ●ボランティアの方にお聞きしたいが、宅配件数が昔と比べて増えているなど、そういったことはあるだろうか。
  • ○ボランティアを始めてから3年ほどだが、自分の都合が良い時だけ宅配をしているので、実際にこの分館で宅配が増えているのか、減っているのかはわからない。
  • ●宅配をしていて、いつも感じていることなどはあるだろうか。
  • ○宅配では特にない。自分が歩く良い機会になるので、自分のためにやっているけれども、それで利用者さんに「ありがとう」と言ってもらえることも嬉しい。
  • ○私は調和分館を使う回数が多い。実は以前、新聞閲覧コーナーを作ってほしいと図書館に要望書を出したことがある。調和分館は新しい図書館だが動線が良くない。土日にはたくさんの利用があるが、大きな音を立てて無造作に新聞を読んでいる人もいて、それが本当に耳障り。自分だけでなく、ほかの人もそう思っている様子だ。そこで一度、棚の配列を変えて新聞閲覧コーナーを設けてほしいと要望を出した。ところが、出した後に、閲覧コーナーを作っても音を立てる人は出てきて、今度は同じく新聞を読む人が静かに読めなくなってしまうことに気がついた。そこで何が必要になるかというと、どこでもいいので、「新聞は静かに読みましょう」といった注意書きをしてほしい。職員の方が注意するのも限度があると思う。
  • ●新聞を読む際に音がうるさいという問題は、調和分館だけでなく中央図書館でも時々あり、トラブルになる。また、よくある問題としては2、3紙を一緒に持っていたり、持って行ったままなかなか返さなかったりということもある。中央図書館では今日から、そういったことはほかの利用者の迷惑になりますという注意書きを、読むのに邪魔にならないよう直にくっつける方法を始めてみている。調和分館では、もちろん音の問題もあるが、一人で奥の方に何紙か一緒に持って行ってしまうという問題がよく起こるので、一人一紙にしてくださいという注意書きを新聞自体にクリップでつけ、開く時に見えるようにしている。音についても、つい夢中になると大きな音を立ててしまうのだろうが、注意書きをしたいと思う。 動線については、言い訳になってしまうが、あの建物の大まかな設計ができた後に引き受けたこともあり、後から直せる部分には限度があった。また、実際に利用が増えてきて初めて気がつく部分もあった。ただ、図書館の設計、建築の中で音の問題は一番大きいので、すぐにはできないが、変えていくチャンスがあればそのような意見を参考にしたい。また、調和分館には子ども室の横におはなし室があるが、仕切りがアコーディオンカーテンだけなので、おはなし会の時の声が通ってしまう。そういった反省を踏まえて、深大寺分館は比較的大きな図書館を作れたので、空間については色々と考えてやっている。音の問題は本当に難しく、何か工夫をしていきたいと思っているので、また何かあれば教えていただきたい。
  • ○千代田区に昭和館という施設があり、そこで資料を借りるには、公的に図書を利用し、また研究に資料が必要であるという証明が必要だと言われたのだが、この場合はどのようにしたらよいか。
  • ●具体的には昭和館に聞いてみないとわからないが、大学図書館には、こちらから紹介状を出すと閲覧や貸出しができるという所があり、昭和館も同じかもしれない。よろしければ、後で担当の職員と相談してみてほしい。
  • ●先程の新聞の件について、どこの分館でも音の問題はある。できるだけ職員が説明して、ご了解いただくようにしているので、気になった時にはまず職員に声をかけてもらえればと思う。
  • ●後から来られた方がいるので、自己紹介も兼ねて少しお話をお願いしたい。
  • ○遅くなりました。若葉小学校の2年生を担当している。若葉小学校は1、2年生とも、子どもたちと先生が一緒に来て本を選び、学級文庫と同じようにクラスで借りている。2学期の9月に借りに来て12月に返し、また3学期に借りるという形で活用している。とても蔵書が豊富なので、子どもたちも楽しんで本を読んでいる。本を探す時にも親切にしていただいて感謝している。
  • ○実は調布市の図書館を利用したことがない。今日初めて来たが、色々なサービスがあり驚いた。特に、学校の子どもたちが図書館に直接来て本を借りられるというのは、すごいと思う。ざっくりと先生が選んで学級文庫として置いている本とは全然違うし、一学期ずつ借りていけるので、子どもも興味があるものを選びやすいだろうと思う。羨ましい。
  • ●調布市の場合は、小学3年生の1学期に図書館ガイダンスを行い、その時に子どもたちが自分で思い思いの本を借りていけるようにしているので、若葉小学校だけでなく、市内の小学校全校でやっている。
  • ○今、小学校では調べ学習に重きが置かれていて、たくさんの本にあたって、自分でテーマを決め、課題を見つけて解決するという学習が行われている。学校図書館の蔵書もそれに対応できるようになってきているが、その分野の本だけを買うわけにもいかないので本が足りない。その場合は、まず学校同士でやり繰りをするが、どこも同じ時期に同じようなテーマで調べ学習をするので、どうしても本が足りなくなってしまい、最終的に公共図書館へお願いする。ただ、本を紛失してしまうこともあるので申し訳ない。クラスの間で本を回していく内に、本を家に持って帰る子が出てしまうと、どうしても1冊戻ってこないというようなことが起きてしまう。図書館としても困っているだろうと思う。もっと良い方法があるか、それともこの方法を続けていって良いのか、いつも悩みながらやっている。
  • ●今は教育が調べ学習にシフトしてきていて、それはとても大事なことだと思う。学校図書館全体としての共同書庫のようなものがあるとよいのではと思う。教育委員会に1人、学校図書館支援コーディネーターというまとめ役がいるので、以前よりも学校と図書館は連携を図れるようになってきている。学校図書館と市立図書館がどのようにつながっていくのかというのは、全国的に大きな課題である。
  • ○除籍された本がリサイクルとして出されているが、いつ、どのような種類の本が出されるかを知ることはできるのか。今回出された本のリストなどがあると嬉しい。
  • ●よく寄せられるご要望だが、できない。毎月作業をしつつ、利用が減っていたり汚れていたりする本を、各館で判断して除籍しているので、事前にどの本が除籍されるかというのはわからない。また、リサイクルに回すかどうかも一冊ずつ本を見て仕分けているので、リストにすることはできない。
  • ○利用が減っていると除籍するとのことだが、図書館の資料として持っていなくてはいけない本もあると思う。そういったものの判断はどうするのか。
  • ●本の資料的価値も加味する。利用が減っていても残しておいた方が良いと判断した本は残しておくし、原則的に最後の1冊は残している。ただ、何でも残すわけにはいかないので、実用書の中には残さない本もある。
  • ○普段、調布市内の色々な図書館を利用しているが、中央図書館にはビデオなどが置いているが、他館には置いていない。館による特色はあるのか。
  • ●視聴覚資料は中央図書館にしか置いていないが、他の資料は一通り全館に置いている。本のジャンルについては、多少の違いはあるが、何か特徴を出そうと思って集めているということはない。
  • ○調布市は子どもの本を吟味して選んでいると聞いているが、調布市の図書館が持っていない本をリクエストした場合、選んだ本の中に入っていないので断られるのか、それとも購入していただけるのか。
  • ●リクエストがあった場合は、その段階で再評価をする。しかし、原則的に一度蔵書にしないと決めた本は購入しないので、その場合にはほかの自治体の図書館から取り寄せる。
  • ●調布市の選書基準に合わないものについては、お断りする可能性もある。
  • ○どのような基準で選んでいるのか。
  • ●調布市の図書館では、まず中央図書館の児童担当職員が何冊か必要と思われる本を選び、各分館の児童担当職員へ送る。送られてきた本は読んで、決まった書式に書誌事項やあらすじ、評価を書いて中央図書館へ送り返す。その後、中央図書館の児童担当職員が読んで評価する。必ず複数の目で見るようにしていて、評価が定まらなければ、また別の職員が読むということもある。最終的には、月に2回、分館の職員も交えて中央図書館で会議をして決めるので、その場で評価が覆ることもある。
  • ●個人が面白いと感じたかどうかではなく、決まった評価の視点がある。実際にブックトークで紹介したり、読み聞かせをしたりした時の子どもたちの反応を見て、評価が正しかったかを振り返っている。そうして、次第に評価の視点が固まってくる。よく調布の図書館は子どもの本が固いと言われるが、経験として積み重ねてきた上で自信を持って選んでいる。リクエストの質問についてお答えすると、大人が研究書として利用される場合には購入するかもしれないし、ほかの自治体から取り寄せることもある。子ども自身が読みたいという場合であれば、お断りすることもある。
  • ○その評価された本のリストは、逐次小学校にも送られてきている。
  • ●評価の結果は一覧表にして、学校図書館コーディネーターを経由し学校にも渡している。学校には学校の評価があるので、学校では購入するという本もある。内部資料なので、一般公開はしていない。
  • ●ただ、評価の良かった本の中からまたいくつかをピックアップして、毎年『子どものほん』などのリストを作成している。紙面が決まっているので掲載されない良い本もあるが、そういった形での公開はしている。
  • ○子どもが小さい時に、調布市の図書館で出しているおすすめの本のリストがとても役に立った。子どもの本を読む会でも、最初に司書さんが本を紹介してくれるのをすごく楽しみにしていた。調布市の本は、バーコードの貼る位置一つ取っても、とても考えられている。季節に合わせたディスプレイの本もとても役に立つ。また、『こどものとも』などの雑誌検索がとてもやりやすく、実際に手に取って見やすいということも感じている。研究機関が出している機関誌も充実している。
  • ●子どもの雑誌で、絵本仕立てのものは一つずつ作品名を入れ、その単語で検索できるようにしている。機関誌のようなものは一通り持っている。
  • ○朝に予約をすると、その日の内に本が届くことに驚いた。
  • ●今、予約は年間60万件ほどある。動かさないと逆に本が溜まってしまって大変なので、午前と午後の2回、車で搬送している。そのため、朝予約をいただくと早ければ夕方に届くようになっている。
  • ●それでは、そろそろ時間になりましたので、討議は終了といたします。

(6)副館長挨拶

本日はご参加いただきありがとうございました。今日言えなかったことがある方は、分館の職員にお伝えいただければ、中央図書館にも伝わるので、ぜひお伝えしてほしい。本日は短い時間だったが、この分館が非常に地域に密着していることを感じた。これからも利用しやすい図書館にしていきたいと考えているので、今後ともご協力をお願いします。