平成30年度 調布市立図書館利用者懇談会(第1回)報告

  • 1 日時:平成30年11月15日(木)午後2時から午後4時まで
  • 2 会場:文化会館たづくり10階 1001学習室
  • 3 テーマ:「図書館の棚に本が並ぶまで」
  • 4 参加者:調布市立図書館利用者19人、図書館職員7人
  • 5 内容(要旨) 

(1)館長挨拶

 利用者懇談会にこれだけの人数の方が集まったのは、おそらく初めてのことだと思う。本当に人数が多いので、お一人に少し話していただく時間を取ることがあまりできないと思うが、そこはご容赦いただきながら、お話を伺えればと思う。よろしくお願いします。それから、地下書庫を楽しみにいらした方も多いと思う。なかなか書庫に入ることはできないので、今日は見て頂いて図書館がどうやって本を蓄えているのか、本がどうやって出し入れしているのか、見ていただければと思う。

(2)「図書館の棚に本が並ぶまで」

 本を選ぶ(選書)ところから、注文、納品・検品、本の受入れ、本の装備、本を棚に並べる(配架)、新刊本のお知らせ(周知)をするところまで、資料を元に説明した。

(3)調布市立図書館事業報告・計画について

 資料「平成29年度図書館事業報告書」「平成30年度調布市立図書館事業計画」の概要を説明した。

(4)参加者自己紹介

○=利用者、●=図書館

  • ○ 先月、読み聞かせの講座に参加し、そこで利用者懇談会を紹介され、今日参加した。
  • ○ 2年前に転入してきた。つつじヶ丘に住んでいて神代分館をほとんど毎日利用している。1冊返すと1冊予約するという良いローテーションで使っている。他自治体からの本もビニール袋に大事そうに入っていて、それを大事に読んでお返ししている。これも便利だと思う。
  • ○ 仙川に住んでいる。緑ケ丘分館を利用していて、脚本のものを書く仕事をしているので、緑ケ丘分館を、離れ書斎と呼んで、何かあると飛んで行って、調べたり、色々な本を取り寄せしたりしてもらったりしている。調べたいことを相談すると厚い本の中に、調べたい箇所に、しおりが入っていて、そこを見るようにというようになっている。きめ細かい対応に感謝している。
  • ○ いつも国領分館を利用している。子どもが生まれた時から、ずっと利用していて、読み聞かせ等、自分も子どもの頃に読んだ懐かしい絵本とかを探して取り寄せしていただいた事もあり、いつも感謝している。
  • ○ 先日図書館カードを無くしてしまい、「これでは生きていけない」という気持ちになったが、別の場所からでてきて、いつも図書館を利用している。
  • ○ 毎日、図書館を利用していて、図書館が無い暮らしは考えられない、と感じている。調布に引っ越して40年くらいになるが、丁度そのときに佐須分館ができて、それ以来使わせてもらっている。
  • ○ はじめて利用者懇談会に参加した。ひとつお願いがある。いつもスマホから申し込みをしているのだが、画面が小さくて見えないということがあり、改善していただけると助かる。
  • ○ 私は図書館のことを研究している。本の蓄積が図書館だ、と言われているが、それだけではないと調布の図書館を見てつくづく感じている。市民との間に築いてきた信頼関係のようなものが何よりも財産なのかな、とずっと見ていて感じている。
  • ○ いつも利用している。ブックリストが沢山あり、本の展示が素敵だなと思っていて、ぜひ、もっと図書館のことを知りたいと思い、今日の会に参加することを決めた。
  • ○ 毎日が日曜日になってはいけないと思い、講演会に参加したりして脳の老化の防止に努めている。先日、講演会の講師が言ったことが間違っていると思い、図書館の4階、5階で調べてもらったところ、その方の専門でなかったのか、煮え切らない返事しかしていただけなかったのが残念だった。年を取っても好奇心を失わない人に助言をしていただけるとありがたい。
  • ○ 染地分館をはじめ、国領、調和といろんな館でお世話になっている。朝に予約をかけた本が午後には届いているという迅速な対応をありがたいと思っている。子どもがなかなか本を読んでくれないので、小学生高学年くらいにすすめる本を、図書館の本の専門の方から発信していただけるとありがたいと思っている。
  • ○ 私は調布に来て60年になる。70歳頃まで働いて、あとは調布で子どもたちの世話などをやっている。孫も学校に通っているので何か手伝えることがあればと思っている。
  • ○ 子どもがまだ小学校にあがる前に、毎日分館に通っていて、小さな子どもを育てている中では、歩いて通えるところに図書館があるというのはとても幸せなことだと思った。
  • ○ 10年前に調布に引っ越してきた。子どもが生まれてすぐに近くの国領分館に行って、子どもと一緒にたくさん絵本を借りることができて、たしか1回20冊まで借りることができて、絵本は3冊、4冊すぐに読み終わってしまうので、20冊も借りられるのは本当にありがたいことだと思った。おかげさまで子どもも本が大好きになりました。幸せなことだと思う。
  • ○ 今日は地下書庫の見学に惹かれて参加した。しばらく前に誕生した、図書館マスコットキャラクターの「じろ」を可愛いと思っている。よく図書館のスタッフが「じろ」の缶バッチや小さなマスコット人形をつけているのをどうにか手に入れられないか、と思っている。チャリティーとか何か手に入れることのできる機会があったら嬉しい。
  • ○ 48年前に調布に引っ越しした。図書館がなければ生活が狂ってしまうほど本が好きで、お世話になっている。本日、地下書庫に行き、私が毎日のように予約する本はあんな手続きで分館に届くのかと思うと感謝の気持ちでいっぱいだ。
  • ○ 家が図書館から近いので、一日おきくらいに来ている。
  • ○ 利用者懇談会は昨年に引き続き2度目の出席となる。地下書庫を詳しく教えて、これで希望がかなった、と思っている。昨年から図書館ボランティアとして書架整理をしている。予約した本がスムーズに来るので、図書館は私の部屋みたいだと思っている。私の人生の中の図書館が占める割合がどんどん広まってきたと思っている。
  • ○ たづくりの施設には、図書館だけではなく自習室等色々な施設があり便利なので、使っている。よく職員に要望を出しているのだが、以前、5階の参考資料室に椅子を用意して欲しいという要望を出したところ、応えていただいた。他にも要望を出しているが、いつも丁寧に返事をいただいて、感謝している。
    私は、本の編集の仕事をしているため、本には非常にこだわりがある。ご存知のように、書店業界も出版業界も非常に厳しい時代で、こういう中で、図書館から本を借りると。本当は買って読めば一番良いのだが、欲しい本全部買っていたらとてもじゃないけれど、やりくりできない。どうしても図書館の世話にならなきゃいけない。いつも図書館で本を借りる時は、本当は本を買わなければいけないと思っている。そういう風な点で図書館というものがこの世に存在しなくて、本は買わなければ手に入らないとなれば、それで救われる出版社も数多いかと思うのだが、そういうところについて図書館で働いている方はどんな想いをしているのか聞きたい。もう一つ聞きたいことがある。6階のDVD等はどのような基準で選定されているのか、どういう風に選ばれているのか、聞きたい。ホームページにも掲載されているとは思うが、現実の問題としてそれがどんな風に行われているのか聞きたい。
     

(5)懇談会  

○=利用者、●=図書館

  • ●  まず、最初のご意見として出たスマホについて説明させていただくと、今の時代は、まさにスマホ・タブレットの時代で、みなさんも見ることが多いと思う。技術的には二つ方法がある。調布が今取っている方法は、もともとあるホームページの仕組みをスマートフォン用に変換させているソフトがあり、それを経由してページを見ているというのが一つ。もう一つは、スマホ用にデザインし直したページを作る、というやり方がある。それをやると手間がかかるということもあり、そっちは選ばなかった。もともとあるページを調整するソフトの技術はだんだん進んできているので、もう少しすると変わってくるのではないか、という感じがしている。
  •   次に、職員に質問したところ、煮え切らないような回答しかなかったということだが、図書館の人が自分の感覚で答えてしまってはいけないということは、おわかりだと思う。では、それに対して職員がどうやって返していくのかというのは本当に難しい話ではないかと思う。 
        今日、このお話をいただいて、この問題は職員がより成長していくより他にないと思う。職員を鍛えるのは利用者の方だと言われている。とにかく声をかけていただいて、いろんなことを経験させていただければと思う。
  •   図書館がなくて、全く本を買わなかったら、確かにそれで成立する出版社があるのかもしれないと、もちろん思うが、本とはそんなものではないというのは、おわかりだと思う。これも図書館としては、いろんな本を取り揃えていくしかないというのが、図書館の立場。今やらなければいけないのは、本を読む人をもう一度掘り起こさなければならないということである。例えば、子どもの本はどんどん借りていってもらい、本を好きになってもらうということをやって、もう一つは面白い本を作って、これは自分で何度も読み直さなければと思う本を作っていただき、図書館はそういう人たちを増やしていく、というのが図書館の立場である。
  •   視聴覚資料については、もちろん著作権のこともあるが、現実には、調布は映画のまちと言っている以上、日本映画を中心に集めるようにというのが一つある。例えばキネマ旬報のランキングで上がったようなものを基本的には買うようにしている。あと、VHSであったものでDVDになったものを買おう、というのは、少しずつではあるが、やっている。もうひとつは、だんだん板で流通させるということが業界的にどうなのかな、というようになっている。今の時代、動画でオンデマンドみたいな感じで観るようになっていると、図書館で一生懸命集めていても、あれ?というようなことになってしまう。そういうところで予算のつけ方は考えているし、残すものを選択するということで、時間をかけている。流行るものより、廃れないものきちんと選択している。
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  • ○ リクエストすることはいいのか。古い名画を観てもらいたい。
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  • ● リクエストについては、選定購入の参考にするということで、リクエストというよりは、情報としていただいている。
     
  • ○ 本のリクエストと違う意味なのか。
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  • ● 違う。
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  • ● 先ほどの、本は買うべきかという問題に対して、皆さまどんなお考えを持っていらっしゃるか、聞いてみたい。
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  • ○ 私は図書館があるから本が売れないというのことに対しては、考えがある。私は図書館のおかげで新刊を沢山読んでいる。そこで読んだ本を「良い」と言って読書会等で宣伝すると、皆さん買ってくれる。図書館で読んだ本を「良い」と言って、その本が色々な方に回るのはすごく良いことだと思う。
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  • ◯ 私は物を増やさない、というのを生き方のプリンシパルにしている。現役の頃は次から次に買っていた。図書館は大変ありがたい。最近出た新しいものでも、神代分館でリクエストすると、意外と3~4日ですぐ来る。調布の図書館は良いシステムになっている。ところで、大活字本は調布市立図書館の一つの特徴なのか。
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  • ● 大活字というのは、ポイント数が通常の活字よりもかなり大きい活字を使っていて、書体も読みやすい「角ゴシック」を使っている。調布は30年くらい前の出始めの頃から、買い揃えている。基本的な考え方は、1つのタイトルで2冊買っている。1冊は中央館に置き、もう1冊は分館を巡回させて、半年に一度入れ替えている。全体の量から考えると少ないが、持っている量は多い。図書全体では本のタイトル数で数えると80万タイトル持っている。それに対して大活字本は5、500冊なのでわずかではある。
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  • ○ 50年以上昔に、ある学者から聞いたのだが、同じものでも文庫で読むのと大きい版で読むのとでは、理解の仕方が違う、ということで、大きい版で読みなさいと言われた。
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  • ● 私たち人間が慣れ親しんでいるのは、本を開いて読むという行為である。その時、本を開いて1回に入る情報量がどのくらいの量かというのを計算されている本もある。文庫の1ページに盛り込む情報が小さくなるのか、あるいは単純に小さくしているかであるが、ということでは、場合によっては大きい版の方が読みやすいのかもしれない。
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  • ○ リサイクルについて伺いたいです。まだ新しくて、だれかに読んでもらいたいと思う本を寄贈として受け取っていただくことはできるのか。
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  • ● リサイクルに出しているものは、基本的に図書館でいわゆる除籍した本です。調布の図書館はすべてではないですが、なるべく一つは残そうとしているので、分館だと中央館に残っていれば、そろそろいいかなと思う本はリサイクルに出している。それから、寄贈についても、新しいもの、古いものあるが、いただいている。新しいものはできれば3年以内くらいにして下さいとお願いしている。古いものは、例えば、映画資料とか、地域資料、といった図書館として残したい資料については、古いものでもいただきたいです。ただ、図書館の蔵書にするかどうかは図書館にお任せいただくようになります。調布の図書館、本を下さいとは言いません。もらうのを優先させてしまうと本を買うという行為が別の意味になるので、あまりそういった呼びかけはしていない。
  • (6)副館長挨拶  

      今日はみなさんお忙しい中、ご参加いただいてありがとうございました。皆さんから図書館をご利用いただいている想いを聞いて、あるいは、ご質問をいただいて、大変良い機会をいただいたと思う。こういう機会を毎年設けておりますが、それ以外でも、何かお気づきの事は、職員に言っていただけると、何か良くできるのではないかと思う。図書館を育てていくのは人であると思う。皆さんの意見を反映させてより良い図書館を育てていけたらと思う。本日は本当にありがとうございます。