平成30年度 調布市立図書館利用者懇談会(第2回)報告

  • 1 日時:平成30年11月22日(木)午後2時から午後4時まで
  • 2 会場:調布市立図書館国領分館 おはなし室
  • 3 テーマ:「図書館の棚に本が並ぶまで」
  • 4 参加者:調布市立図書館利用者6人、図書館職員6人
  • 5 内容(要旨) 

(1)館長挨拶及び職員紹介

 国領分館は昭和44年、調布で2番目にできた図書館。手を入れながら50年近く開館してきた。調布の図書館の特徴のひとつが、図書館がたくさんあるということ。自分の家から徒歩10分程度のところに必ず図書館があるのは日本では珍しい。半径800メートルに1館図書館を作ろうという目標の下、一番初めにできたのがこの国領分館である。図書館を運営する上で、仕事をしている人だけでなく利用している人がどう考えているかはとても大切なことなので、今日はいろいろお話を伺えればと思う。
 

(2)第一部「図書館の棚に本が並ぶまで」

 配付資料「図書館の棚に本が並ぶまで」を元に、選書、発注、納品・検品、受入、装備、配架、周知という一連の流れを説明した。
 特殊な資料として、地域資料(1枚ものの地図、国領地域の資料)、特殊装備資料(CD付、型紙付、くるりんブッカー、ぺらぺらブッカー)、ハンディキャップサービス資料(大活字本及び同内容の文庫本、点字本及び同内容の墨字、録音資料(カセットテープ・デイジー・プレクストーク・原本と同じ墨字・マルチメディアデイジー)、布の絵本)などを紹介した。
 

(3)「平成29年度調布市立図書館事業報告」及び、「平成30年度調布市立図書館事業計画」について

 資料「平成29年度図書館事業報告書」を用いて、図書館の事業報告を行った。
 資料「平成30年度調布市立図書館事業計画」を用いて図書館が重点的に行っている事業の説明をした。
 

(4)参加者自己紹介

○=利用者、●=図書館

○職員から声をかけられ、図書館ボランティア発足時から関わっている。宅配ボランティアだが、「ありがとうございます」と声をかけていただいたり、産前の方に宅配していてお腹にいた子が大きくなった姿を見たりすることが嬉しい。年を取ってきたが、元気なうちはできるだけ続けたい。
 

○横浜在住で、図書館について大学で調査・指導を行っていた。3年前定年になってから、全国的にも有名な調布の図書館について知りたいと思い、勉強のためいろいろと参加させていただいている。一口に「本」といっても様々な資料があり、一口に「サービス」といっても貸出返却だけでなく宅配のように手元まで届けることもあり、実にきめ細かい。
 

○昔の地図を見て懐かしかった。多摩川住宅が当選して引っ越すときは何もないところだと思ったが、図書館があって本当によかった。当時の図書館職員の方は皆博識で、小説を書いている人もいた。娘の小学校で読み聞かせの会を立ち上げるなどの活動をし、一度転出したが戻ってきたときハンディキャップサービス係の音訳者にもなった。読書会にも参加しており、本がないと暮らせないので図書館にはいつも助けられている。
 

○くすのきアパート4号棟1階にある国領児童館の館長をしている。児童館はサービス対象が0歳から18歳までで、午前中は乳幼児が、午後は小中学生が利用している。図書館には乳幼児の会のための絵本を団体貸出してもらい、助かっている。またリサイクル資料も活用し、児童館の古い蔵書と入れ替えて、小中学生用の資料を揃えるようにしている。ボランティアによるおはなしの会を月2回開催している。
 

○16年住んでいる。中学生と小学生の息子がいるが、自分以上に本に触れあってほしいと思い育ててきた。小学校PTAの図書サークルで活動しており、今日も中休みに読み聞かせをしてきた。自分の子でなくても愛情を与えられる点に、読み聞かせの魅力を感じている。昨今、言葉が拙い子やとげとげしい子が増えたのが気になっている。児童館でドッチビー指導もしているが、先生とは違う保護者目線での声掛けが大事だと感じている。日々本に助けられながら子どもたちと接している。
 

○すぐ近くに住んでいて、家の本を増やさないよう、国領分館をしょっちゅう利用している。
 

(5)懇談会  

○=利用者、●=図書館

○予約の本の到着がとても早いが、どのようなシステムになっているのか。
 
●開館日は午前午後の2回、メール便車両が全館を回っている。各館ごとに車両の到着時間に合わせて予約在庫リストを抽出し、車両に載せて送り出す。車両運行は福祉作業所に依頼している。火曜日午前は休館中に返却・予約資料がたまるので2便に増便している。多数所蔵の資料は市内のどこかにあるので概ね翌日までには届く。中央図書館の地下書庫には全館の資料の集配を一手に引き受ける場所があり、そこで全館へ振り分けている。調布の図書館の所蔵は約130万冊、タイトル数は約80万点ある。その中から自分のほしい本を選ぶと考えれば早く届いていると考えられるのではないか。

 

○自分は予約の本の到着が速いと思ったことはない。なかなか届かず、忘れた頃に来る。しかし、古い本などについて伺うと、きちんと調べて都立図書館から取り寄せるなど丁寧に対応してくださるので感謝している。
 
●在庫資料はすぐ提供できるが、予約多数資料はなかなか順番が回らずお待たせして申し訳ない。
 

○国領分館に来るのは初めてで道に迷わないか不安だったが,看板が大きくて助かった。普段利用している染地分館は表示がなく,知っている人でないとたどり着けない。
 
●国領分館が開館して1週間目の日誌に,看板が見えたから来館したという子どもがいた,と「看板効果」について言及する記録があった。染地分館は都から借りている施設なので地域福祉センターと並べて書かれた小さな看板しかつけられない。都の土地なので道標の設置も困難。染地分館は調布で10番目にできた図書館だが,それまでバスに乗って図書館に通っていた人たちの「近くに図書館がほしい」強い希望から生まれた。
 

○読書会も、本を揃えるなど図書館のサポートがあってこそ継続できていると思う。
 
●読書会などは他市にあまりない。調布市立図書館の読書会で知識を得て各自の地元に持ち帰り活用してもらえればよいと思う。
 

●国領分館は分館の中でも利用が最多で、週末は貸出冊数が1000冊を超える。自動貸出機の助けなしに週末をしのげない。地域資料も多数あり、調べ物のための来館も多い。
 

●国領分館は階段の昇降が必要で、インターホンを利用していただくと職員が昇降を介助し対応しているが、エレベーターの設置はできない。車椅子利用の方も通路が狭く利用が困難。それでも自分で直接本を選びたいという方も多い。来館して自分で選び、運搬だけ頼むという宅配利用の方法もある。宅配利用が増加しており、昨年度は1万冊を超えた。宅配サービスがもっと浸透するとよいと考えている。
 
○宅配協力員をしていると、画集などは重くて運搬がたいへんだろうと思う。
 

●図書館を使わない子どもたちをどう呼びこむかが課題だと思う。関わり方を考えないと取り残される子どもがいる。
 
○児童館でも、遊ぶ空間の中におはなしの空間を作り、気分に応じて参加できるよう呼びかけている。
 
○宮沢賢治『よだかの星』のような難解なテーマの本の読み聞かせでも、こちらが伝えよう向き合おうという姿勢を示すと子どもたちはきちんと聞いてくれる。難しい年齢で、とげとげした態度を取る子どもに近づくのは怖いときもあるが、そこに飛び込んでいく大人の姿を見せないと、その子たちは心を開いてくれない。
 
●八雲台小学校などの全校集会のおはなし会でも、「読み聞かせをする」というと、短い時間だが子どもたちはすっと集中して世界に入ることができる。

 

○家庭文庫のようなことを2年程していた時期があり、そのとき来ていた子どもたちが今子育て世代になっているが、そのときのことをきちんと覚えてくれている。今の子どもたちはよその人の家に上がるということをしないし、できない。
 
●一般家庭でそのようなことが困難になった今の時代、児童館のような施設にその役割をお願いしていきたいと考えている。
 

○団体貸出のおかげでとても助かっている。また、以前図書館職員に国領児童館の蔵書を見て書棚整理をしていただいたことがあり、それも助かった。
 
●図書館も、来館していただくのを待つだけでなく、地域の児童館等に出向いて講座を行ったりいつもと違う市民の方々と触れ合ったりして、今まで来館したことがないという方々にPRしていくことを最近特に心がけている。今日いらしていない方で他の方の図書館への声を聞かれたら、ぜひ図書館にお伝えいただきたい。
 

(6)副館長挨拶

 これからも皆様の声を聞かせていただきたい。今日ここに来てくださった方々は図書館の応援団。小学生までは学校等を通じて支援ができているが、中高生からは生活の忙しさもあり読書自体から離れていく現状がある。図書館では神代高校との連携事業など、今後一層中高生へのサポートを強化していきたいと思っている。子どもの読書活動推進計画は平成31年に第3次改訂を行うため現在準備中。パブリックコメントも募集予定なのでぜひご意見をお出しいただきたい。