平成31年度 調布市立図書館利用者懇談会(第1回)報告
- 1 日時:平成31年11月21日(木)午後2時から4時まで
- 2 会場:文化会館たづくり10階 1001学習室
- 3 テーマ:「お宝発見!映画資料 ―映画のまち調布―」
- 4 参加者:調布市立図書館利用者8人、図書館職員7人
- 5 内容(要旨)
(1)館長挨拶
普段図書館を利用していて感じていらっしゃることがあれば、この機会にぜひ教えていただきたい。また、会の前半では、「映画のお宝発見!」ということで、調布市立図書館が所蔵しているポスターや台本など、いわゆるノンフィルム資料を中心に紹介させていただき、今後の図書館の利用に繋げていければと思う。
(2)お宝発見!映画資料 ―映画のまち調布―
映画資料室の成り立ち、所蔵している映画資料やそれらの収集方針、保存方法等について紹介したうえで、他機関・映画関係者との連携及び支援、そして調布デジコンのご案内もした。
また、「映画のまち調布」らしいエピソードとして、「公立図書館でここまで映画資料を収集しているのは珍しいため、茨城や広島など県外から調布の図書館に来られる方もいる」、「吉永小百合著『こころの日記』の中で、布田からの道のりに関する描写がある」、「図書館の資料は書き込みしてはいけないが、撮影台本は書き込みが多数あるのが特徴で、そのまま受け入れている」、「映画の撮影にあたり、制作会社の大道具や美術を担当されている方からレファレンス依頼を受けたことがある」などのお話をした。
今回、映画資料閲覧の時間を設け、主に八千草薫さんや吉永小百合さんに関するポスター、スチール写真、台本等に加え、過去の映画祭の資料や図書館だよりなどを用意し、実際に手に取っていただいた。「この映画懐かしい!俳優の○○さん若いわね」など、皆さん懐かしがりながら、貴重な資料に大変興味深い様子だった。
(3)調布市立図書館事業報告・計画について
「平成30年度図書館事業報告」及び「平成31年度調布市立図書館事業計画」を用いて、図書館の事業報告を行うとともに重点的に取り組んでいる事業の説明をした。
(4)参加者自己紹介
○=利用者、●=図書館
- ○ 翻訳の仕事をしており、映画の字幕を作成することもある。昨年調布市に引っ越してきて、「映画資料室」だけでなく、調布では様々な映画資料を収集していることを知り、本日この会に興味を持って参加した。
- ○ 調布に50年在住しており、図書館には週に2回程度来ている。図書館は市内の施設で一番いいと思う。調布の図書館に所蔵がない場合、一週間程度で他から取り寄せてくれるが、このサービスは本当に素晴らしい。
- ○ 図書館には一週間から10日の間に1回は来ているが、懇談会に参加するのは初めて。調布の図書館はレベルが違うと思っているが、もっとしていただきたいことがあり参加した。利用者として問題意識を持ちたく、図書館の事業計画や予算の面などを詳しく知りたい。利用者と問題を共有して、利用者と一緒に図書館を育てていかなければならないと思っている。
- ● 「数字で見る図書館活動 平成30年度版」に予算状況や職員体制等詳しく掲載している。その資料を通して図書館活動の10年間の推移をみていくと、平成30年度において、蔵書数は139万点程で、個人貸出数は250万点以上になる。有効登録者は市内だと73,859人であり、人口が235,805人なので、調布市民の約3割程度が図書館の利用カードを持っているということになる。これは全国的には平均の数字。蔵書回転率という、市民一人あたりどのくらい本が回ってくるかという割合は、1.9程度になる。また、職員体制は、図書館で司書の任用を受けて働いている者は、職員全体の7割程度。
- ○ 町田から越してきて初めての参加。いつも14時~16時で映画を観ているが、若い時には観なかった映画がたくさんあるな、と感じる。調布駅に「日活映画俳優の手形」が出来たことを嬉しく思っている。
- ○ たづくりで、外国人の子どもたちに日本語や日本の遊びを教えるボランティア活動をしていたため、毎週たづくりに来るのが楽しみで、図書館のことも昔から大好き。映画も好きで、1950年代のはじめからずっと観ている。神保町シアターにも観に行っていて、映画っていいなあと思っている。
- ○ 図書館が良くて調布市内へ引っ越してきた。それから40年以上図書館が生きがいで、今も富士見分館を毎日利用している。利用者懇談会にも毎年参加させていただいている。
- ○ 昨年の利用者懇談会に参加したとき、地下書庫を見ることができて凄く楽しかったことに加え、今年は「映画」がテーマということで、映画大好き人間として参加を決めた。今日参加して皆さんに共有したかったことは、ヒノユウキさんの著作に出てくる「書籍修復家」という職業の存在である。ボロボロになった本を修復するという仕事で、図書館の本も直したりしているらしいので、そのような方との関わりがもしあるようなら、お話を聞きたい。
- ● 調布の図書館で所蔵している本は、一般的に購入できる本がほとんどなので、本を一回ばらして直すということはしない。本の製本というのは専門の業者に委託しているため、製本のし直し等を委託することはある。以前研修に参加した職員から聞いたことがあるが、本を直すか直さないかの判断は、その本を残しておきたいかどうか次第であり、地域資料など残しておきたいものは製本していくが、残しておくものは少ない。
(5)懇談会
○=利用者、●=図書館
- ○ リサイクル本に入っている線は、どのように修正すればいいのか。
- ● まずリサイクル本になる本は2種類あり、1つは図書館で除籍したもの、2つ目は、寄贈をしていただいたが図書館に置くことができないものである。図書館で所蔵していて除籍したものについては、リサイクル本になったと分かるようにシールを貼っているが、元々図書館の本ではなかったものについては、区別するためにマジックで線を引いている。気になるようだったら、ご自身で修正テープやサンドペーパーなどで白くしていただいて構わない。
- ○ 「数字で見る図書館活動 平成30年度版」の10年間の推移をみて考えなどがあったら聞かせてほしい。問題点を共有したい。
- ●まず図書費について、平成21年時点では8,000万あったが、平成30年には6,900万程度に減っている。これは市全体の予算状況の関係もあるが、増やしたいと思っている。貸出数が減っていることについては様々な理由があると思うが、図書費は6,900万程度はあるので新しい本が買えないわけではない。ただ、傷んだ本や古びてきた本の買い替えがなかなか進んでいないので、それが貸出に影響している可能性はある。もう1つ考えられる点は、図書館で本を借りる人自体が少なくなってきていることである。これは調布の図書館だけの問題ではなく、全国的にも言われていることであり、図書館の利用のされ方が変わってきているのかもしれない。
- ○ 出版の販売数が減っていることと、本を借りる人が減っていることは、リンクしてるのか。
- ● 必ずしも2つの事象が結びつくとは言い難いが、まず本屋等の商売のやり方自体が何十年も前に比べて変わってきているというのはあると思う。また、販売点数自体は何十年も前に比べてそこまで減っているわけではないので、本を読む人自体が大幅に減っているとは思わないが、本という形で読む人が減っているのかもしれない。そのことに加え、世の中の情報の収集方法も変わってきている。例えば図書館に来ても本を借りずに、中で読書を楽しむ方など、利用のされ方も多様化してきている。
- ○ 市立図書館として財政規模が大きいように思う。利用者も減ってきている中で、調布市は市として頑張っていると考えられる。ただ予算も利用者も減ってきているというのは事実で、何か基礎が低下しているように感じるが。
- ● 職員の構成も変わってきている。図書館の司書を仮にベテランかベテランではない人と分けた時に、司書の数としては多くいるが、全体的に若い人たちが多い。社会全体にいえることだが、若い人たちが成長していくのには時間がかかる。今ちょうどその時期で、そこも課題の1つではある。
- ○ 司書の数はどのくらいいるのか。
- ● 図書館の職員のうち、約7割程度が司書の任用を受けて働いており、全国的に見たら高い割合である。
- ○ 他の市でやっているところもあるが、業者への委託等についてはどう考えているか。
- ● 図書館全体の仕事を委任する「指定管理者制度」というのがあるが、調布は市が直接図書館を運営しており、今のところこの状態から変えるという話は出ていない。
- ○ 図書館で働く職員以外の人(嘱託員、臨時職員等)で、司書の資格を持っている人はどれくらいいるのか。
- ● 有資格者は4割程度である。カウンターに立つ人は職員よりも多いが、司書の資格があることで何かをやっているか、というのは、司書の仕事を継続していたかなどの問題もあり資格だけの話ではなくなってくるため、なかなか難しいところである。
- ○ 本館と分館の職員の割合はどうなっているか。
- ● まず職員61人中20人が分館配属である。職員全体でみると、3分の1が分館におり、3分の2が中央館にいる。これは、分館に比べて中央館は朝から晩まで空いており、開館時間が長いというのが単純に理由としてある。
- ○ 本の貸出数とかカードの登録者数とか、出版の売り上げとかなり比例しているため驚きながら見ていた。出版物数の低下と非常に酷似している。
- ○ 様々な面において、調布の図書館は他の市と比較するとどうなっているか。
- ● 調布の図書館が多摩地域でどうなのかと考えたときに、人口は上から数えて4番目であり、やはり人口が多い方が貸出数は多くなってくる。図書費は武蔵野市が一番高くて、一人あたり1,000円となっている。調布は300円程度なのでそこで700円も差がある。昔は調布も1人あたり500円程だったが下がってきており、人口が増えているのに資料費が下がっているというのは課題である。また、図書費には雑誌・新聞を買う予算は含んでいないため、実はそれだけでも2,000万程度はある。調布には図書館が11館あり、よく読まれる週刊誌などを全館に置くことも考えると、雑誌や新聞にはかなり予算が必要。また、雑誌や新聞は幅広くなるべく継続して買うようにはしていて、中央図書館では、新聞は週刊で出ているものも含めて39誌、雑誌は521誌とっている。ただ最近は図書館で見なくても家で見られたりすることもあり、利用のされ方も変わってくるように思う。
(6)副館長挨拶
この会を通して、映画を好きな方はたくさんいらっしゃるということを改めて実感した。私達職員も、台本やスチール写真のような貴重な資料を触る機会はあまり多くないので、皆さんと一緒に見れて良かったと思う。また、職員の体制や予算の面などたくさんの意見をいただいたことは、これから私達が運営を考えるうえで非常に貴重な意見だと思っている。数字でみると、普段の業務では見えない部分も見えてくるので、いただいた意見を参考にしながら、今後の図書館運営を考えていきたい。利用者懇談会は年2回だが、日々何か気づいたことがあれば意見をいただきたいと思っている。