平成31年度 調布市立図書館利用者懇談会(第2回)報告
- 1 日時:令和元年11月28日(木)午後2時から4時まで
- 2 会場:染地地域福祉センター 第4集会室
- 3 テーマ:「お宝発見!映画資料 ―映画のまち調布―」
- 4 参加者:調布市立図書館利用者7人、図書館職員6人
- 5 内容(要旨)
(1)館長挨拶
普段図書館を利用していて感じていらっしゃることがあれば、この機会にぜひ教えていただきたい。また、会の前半では、「映画のお宝発見!」ということで、調布市立図書館が所蔵しているポスターや台本など、いわゆるノンフィルム資料を中心に紹介させていただき、今後の図書館の利用に繋げていければと思う。
(2)お宝発見!映画資料 ―映画のまち調布―
映画資料室の成り立ち、所蔵している映画資料やそれらの収集方針、保存方法等について紹介したうえで、他機関・映画関係者との連携及び支援、そして調布デジコンのご案内もした。
また、「映画のまち調布」らしいエピソードとして、「公立図書館でここまで映画資料を収集しているのは珍しいため、茨城や広島など県外から調布の図書館に来られる方もいる」、「吉永小百合著『こころの日記』の中で、布田からの道のりに関する描写がある」、「図書館の資料は書き込みしてはいけないが、撮影台本は書き込みが多数あるのが特徴で、そのまま受け入れている」、「映画の撮影にあたり、制作会社の大道具や美術を担当されている方からレファレンス依頼を受けたことがある」などのお話をした。
今回、映画資料閲覧の時間を設け、主に八千草薫さんや吉永小百合さんに関するポスター、スチール写真、台本等に加え、過去の映画祭の資料や図書館だよりなどを用意し、実際に手に取っていただいた。「この映画懐かしい!俳優の○○さん若いわね」など、皆さん懐かしがりながら、貴重な資料に大変興味深い様子だった。
(3)調布市立図書館事業報告・計画について
「平成30年度図書館事業報告」及び「平成31年度調布市立図書館事業計画」を用いて、図書館の事業報告を行うとともに重点的に取り組んでいる事業の説明をした。
(4)参加者自己紹介
○=利用者、●=図書館
- ○認知症や居場所を求めて図書館へ来る利用者への対応など、高齢社会を迎えるにあたって考えていかなければならないと感じている。
- ○中央図書館と染地分館を両方利用しており、自分なりに使い分けている。図書館はさまざまな人が来るところなので、静かな方がいい。図書館員にコミュニケーションを取ってもらいたいという意見についてだが、私は受付とは本来静かであるものだと思っている。
- ○図書館の環境については、狭い施設の中のことなのである程度は仕方がない。朗読の仕方などを図書館員や専門家を講師にした勉強会があるととてもありがたい。図書館はいろんなことをやっているのに情報として出していない印象がある。市報やチラシだけでない『目に見える形』で出した方がいい。
- ○図書館の書架を自分の部屋という気持ちで利用している。勉強する中に調布の図書館があり、司書に聞くというコンタクトを続けてきたから、自分自身も成長してきたと思うぐらい満足している。レファレンスもすぐにしっかり調べてもらえる。不満があるとすれば、雑誌や新聞を読むスペースが狭いなどの環境的な問題だけである。図書館の読書会などはハードルが高いと感じる。もっと身近に図書館員が選んだ本を聞く朗読など、読む気になれない人たちを刺激するようなサービスがあれば面白い。
- ○読むことが好きで、手あたり次第に新しい本をリクエストするが、すぐ届くのと、忘れた頃に届くものがある。人気の集中する本はもう少し買う冊数を増やしてほしい。
- ○私は多摩川住宅に何十年と住んでいて、この図書館にずっと通っていた。図書館には越してきて間もなくても、スッと入っていけるものがある。『読書会は朗読を聞く会のことだと思っていた』という人からの感想から、読書会に朗読のような会があってもいいのかなと考えたことがある。長い期間図書館を利用し、読書会を通じてたくさんの資料を吸収して勉強をさせてもらった。
(5)懇談会
○=利用者、●=図書館
- ●目が見えないから朗読という話ではない時代になっていて、本を持って読むことは大変である。一種の視覚障害の拡がりへの社会的な対応として、例えば読み方講座みたいなものがあってもいいのかと思った。図書館なのか、公民館の範囲であるかなどの問題点があるが、うまく使えたら面白いのかもしれない。樟まつりの中では、文学作品についてある程度のプロの方に語っていただいたことがある。朗読会で何回か行ったことがあるが、『耳から読書する』ということをもう一度見直してもいいと思う。
- ●染地分館は高齢者の利用が多く、時代小説などの資料も多く揃えているが、他の層の利用者がなかなか来にくいという話もある。様子の気になる利用者がいたときの連絡体制について、現在は地域包括にすぐ連絡しているが、そういう点についても職員一人ひとりが気にしていくことが必要である。
- ○録音資料は、ハンディがある方に限定されている。音声で聞くことは自分で読むのと全然違った楽しみ方があることを実感した。障害者手帳を持つようにならなくても、視覚・聴覚は衰えていくので、録音資料をもう少し気軽に貸出できるような方法を模索してもらいたい。
- ●「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」では、何をもって視覚障害者というところがある。全盲の人は実はそれほど多くなく、次第に視力が弱ってきている人へも録音図書の利用の範囲を広げようとする動きがあるが、広げすぎると今度は権利者の問題が出てきてしまい、今そのバランスをとっている。先に耳で聞いてから、大活字本を読み、読書会に毎月参加している、そういう人がいることをみんなで知ることも、可能性を広げることである。
- ○染地に越してきたときから今でもずっと感じていることは、図書館はどんな人でも「みんな受け入れる」ということ。こういう場所は図書館以外にはない。それだけに大変だろうと思うこともあり、単に図書の仕事だけではないことがいっぱいあるように思う。これから益々大変になっていくと思うが、図書館は永遠にはなくならないものである。
- ○図書館は資料を多くそろえてほしい。色々な活動や事業計画にもあるように、図書館資料の提供、資料を充実させるところが本来の業務ではないか。
- ●例えば、図書館全体で本としては40万冊程持っているという状況の中で、資料の充実をどうするのか。資料費があるのだから買えばいいではなく、すべての資料を買っても置けるのか、という問題がある。
- ○それは図書館のリクエストが来た時の、これは図書館で所蔵した方がいいか、他自治体への予約に回したらいいかという判断次第ではないか。
- ●分館に所蔵しないが中央には所蔵していて、遅くても2日で来るといった場合にどんな本を集めるか、選書の話になる。図書館で持つべきものが何なのか見極めるセンスがある。それぞれの利用者が求めている本にどれだけ対応した本を見つけられるか、という話になる。年間7万冊ほどリクエストがある中から1万冊以上は購入しているが、それでも7分の1だと言われたときの職員のセンスにある。予約が集中している本はもっと買ってほしいという声もあり、限られた予算の中でどのように配分するかの問題。人気資料の複本を入れるのか、もしくは種類を増やすのか。調布市内の全館でそろえると10冊になるのと市内で1冊でも入れておくべき本をどう見極めていくのかはとても難しい。
- ●図書館は多種多様なものを集めるべきだということがあるが、中身が同じような本を利用者からの要望どおりに買っていていいのか。集めるべき本をどのように見極めるかが図書館のセンスになる。
- ●参加者の活動の話で、幼児がいるときには幼児向けの活動し、子どもから手が離れたときには高齢者向けの活動というような取り組み方は、意外に誰もやっていないことではないかと思った。
- ○活動のグループを作っている。先程の話を聞いて、ないときはないから仕方ないし、今どうしても必要なら買うとか、図書館は臨機応変に使えばいいと感じる。調布の図書館と他市の図書館でなぜ違うイメージなのか、その図書館の司書のセンスが出ているからだということが分かった。調布でも同じものばかりではなくて、たまには違うイメージで本を出すと、本探しが楽しくなる。高齢者の人たちに読むときには相手が楽しめるような企画をいつも色々と考えている。そのための勉強を図書館側から提供してもらえられたらありがたい。図書館が特徴ある図書館を求めるのなら、やっていることをどんどんアピールしたほうが、利用者も図書館に来館しやすいし、来て楽しくなる。
- ●図書館員は、高齢者や大人に対しては専門家ではない。しかし、図書館外で専門の人を探して、その情報を利用者に見せながらつなぐこと、例えば公民館の講座やメニューからそこで活動をしている人たちとつないでいくことは図書館でできるように思う。そうなると図書館だけで、あれもこれもとやることは不可能なことなので、本を集めていくことがまず基本で、それに加えてそのような情報をつなげていくのがあってもいい。
- ○図書館には、そういう情報が明記されていない。本が中心になるが、講座や場所でやっていることをまず図書館が情報化してもいいのでは。図書館で本の情報とともに企画の情報をまとめて、情報の出し方などを考えてもらえたらと思う。
- ●そういうところがまだまだ足りない点は確かにある。公民館も図書館も互いが何をやっているかは把握していない。広くいえば一括りに生涯学習情報施設と言っているが判りづらさがある。
- ○「自分でホームページを調べなさい」という不親切な形がある。染地分館は地域福祉センターも併設していて色々と広がっているので余計に感じるのかもしれない。せっかく隣同士なのだから情報を共有してもいいのでは。この近辺の人たちは、気軽にここは私の図書館というふうに便利に使うものだと思っていて、生活の中に入りやすいところである。
- ●市報や掲示などでのお知らせだけではなかなか声が届かない面を考慮し、今回利用者アンケートという形で310枚ほど一般市民と子どもたちへ配布した。本日の意見や感想は、アンケートの中の意見と重なる部分がある。アンケートの結果では、資料の充実、そして親切・丁寧・速さというキーワードが概ね好意的に書かれていたが、どちらかに重点を置くかではなく、どうやってうまくバランスを取っていくかが図書館員のセンスかと捉えている。利用者の視点に立った図書館として今後も日々研鑽してまいりたい。