追悼 アンジェイ・ワイダ監督
2016年10月17日
アンジェイ・ワイダ監督はポーランド映画界の巨匠で、自国の激動の歴史をふまえて、人間の自由や尊厳を問う作品で知られています。
監督は第二次世界大戦中、レジスタンス活動に従事しました。戦後は絵画を学び(そのきっかけは日本美術だったようです)ながら、国立映画大学演出科に入り、助監督を経て1954年の「世代」で監督デビューを果たしました。続く「地下水道」、「灰とダイヤモンド」とあわせて“抵抗三部作”と呼ばれ、反ナチズムを核に据えつつもスターリニズムによるポーランドの悲劇を暗示したものでした。以後は文学の映画化や虚空の世界を描くようになります。
ポーランドの民主化運動の推進役となる自主管理労組「連帯」を取り上げた「鉄の男」(1981年)でカンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)を受賞しましたが、同年の戒厳令で映画人協会会長の座を追われ、祖国での映画製作ができなくなってしまいました。しかしフランスやドイツの協力で作品を撮りつつ、1986年の「愛の記録」でポーランド映画界に復活しました。
2016年10月、病に伏していましたが90歳でこの世を去りました。