調布市立図書館の収集方針
調布市立図書館資料の収集・保存・除籍に関する基本的方針
1 目的
知る自由と学ぶ権利は、市民の基本的権利である。図書館は、図書及びその他の資料を収集、提供することによって、これを保障する役割を担っている。
調布市立図書館は、この役割を果たすため、「資料の収集・保存・除籍に関する基本的方針」を定めるものである。
2 収集・保存・除籍の検討及び決定
資料の収集・保存・除籍の検討は、職員の合議に基づいて行う。
図書館長は、この検討を受けて、資料の最終的な決定に関して責任を負う。
3 収集
- (1) 基本方針
- ア 国民の知る自由を保障する図書館の任務を確認した「図書館の自由に関する宣言」(日本図書館協会)の精神に基づいて、資料収集の自由を実践するため、次のことを尊重して収集を行う。
- (ア) 多様な対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集する。
- (イ) 著者の思想的・宗教的・党派的立場にとらわれて、その著作を排除することはしない。
- (ウ) 図書館員の個人的な関心や好みによって選択をしない。
- (エ) 個人・組織・団体からの圧力や干渉によって収集の自由を放棄したり、紛糾をおそれて自己規制をしない。なお、図書館の収集した資料がどのような思想や主張を持っていようとも、それを図書館及び図書館員が支持することを意味するものではない。
- イ 変動する社会の状況をとらえ、市民の要求・関心に応えた蔵書構成を目指し以下の資料を収集する。
- (ア) 人類の歩んできた歴史を明らかにし、現在を問い直せる資料
- (イ) 現代の情勢・傾向・論議を反映する資料。現在の関心事というだけでなく、将来においても何らかの意味を持つ、種々の異なった見解を代表する最新の資料
- (ウ) 自然界のあらゆる事象の基本原理(真理)を探求し、自分の生きている世界を理解するのに役立つ資料
- (エ) 有意義な芸術的経験を与え、想像力を刺激し、創造に対する個人の可能性を伸ばす資料
- (オ) 生きる力と慰めを与え、個人が人生を楽しむのに役立つ資料
- (カ) 職業に関連した情報を得、また職業人としての役割を助ける資料
- (キ) 日常生活をする上で役に立つ実用的な資料
- (ク) 学校教育を補い、自学自習を助け励ます資料
- (ケ) 子どもたちに永続的な楽しみを与える資料。様々な事柄への興味・好奇心を満たし、自身の可能性を伸ばす助けとなる資料
- ウ 市民の図書館資料全般に対する希望、批判は積極的に受け止めて検討し、収集の参考とする。市民が購入を希望する個々の資料については、その資料の図書館での利用状況を十分予測し、資料別収集方針や当該年度の収集計画とも照らし合わせた上で、購入を判断する。
- エ 中央図書館と分館は、中央図書館を中心とし、一体となってそれぞれの役割に応じた収集を行う。
- オ 資料の収集は購入を原則とするが、寄贈・寄託・他機関との交換等による入手資料も活用することとし、その受入れは当方針に基づいて判断する。
- ア 国民の知る自由を保障する図書館の任務を確認した「図書館の自由に関する宣言」(日本図書館協会)の精神に基づいて、資料収集の自由を実践するため、次のことを尊重して収集を行う。
- (2) 資料別方針
- ア 図書資料
- (ア) 一般図書
- 図書館資料の中核をなす図書は、個々の内容や利用価値を十分考慮し収集する。
- 中央図書館は、市民の直接の利用に応えるとともに、分館のバックアップをする資料センターとして、参考文献にあげられることの多い基礎的な図書から、各分野の資料相談に応じられる参考図書や専門書まで、幅広く収集する。
- 分館は、気軽に利用できる身近な図書館として、各分野の基本図書を備えるほか、新刊書を中心に、小説、実用書、学習の助けとなる入門書、時事問題を扱った図書を重視したタイムリーな収集をする。
- (イ) 児童図書
- 子ども時代は、本に対する好みや感性が養われる大切な時期であり、読書の習慣もこの時期につくられるものである。この大切な子ども時代は大変に短いため、できる限り質の高い本を子ども室にそろえて子どもたちに提供できるよう選書を行う。また、年齢や生活体験が異なる子どもたちが、個人の興味や読書力に合った本にも出会えるように、選書には十分留意する。
- 中央図書館は多様で幅広い図書を、分館は普遍的な価値のある本と新刊書を中心に収集する。
- (ア) 一般図書
- イ 新聞
- 日々の幅広い情報を伝える新聞は、全館で主要全国紙を中心に購入する。中央図書館では、専門紙、公報・政党紙なども選定する。
- なお、主要紙については長期間保存することができ、過去に遡って調べることができる縮刷版や電子メディア等も収集する。
- ウ 雑誌
- 雑誌は、図書では得られない速報性と多様性に富み、新主題についての記事が載るなど重要な情報源であり、市民の趣味や生活に役立つものとして、各分野の主要なものを幅広く収集する。中央図書館では調査研究のための専門誌も収集の対象とする。
- エ 地域資料
- 調布市立図書館は調布に関する専門図書館としての役割を持つ。そのため地域の資料の収集・保存を責任を持って行う。
- (ア) 郷土資料
- 調布を理解し、その文化を次の世代に継承するため、調布の歴史・自然・産業・文化の記録などを収集する。
- (イ) 行政資料
- 市民が、市政に積極的に参加する助けとなり、また身近な生活情報を得るために、市の刊行物は網羅的に収集する。東京都の資料は、基本的な資料を系統的に収集する。
- (ウ) 学校資料
- 市内にある学校が発行している要覧、学校史、学校だより、紀要などを収集する。
- (エ) 住民資料
- 調布にゆかりのある市民の著作や、それら市民の業績を記した資料などを、様々な入手方法を講じて収集することを目指す。
- オ 映画資料
- 「映画のまち調布」の地域資料の一環として、日本映画、特に日活調布撮影所・角川大映スタジオに関する資料を中心に、映画に関する資料を幅広く収集する。
- カ マンガ資料
- 名誉市民水木しげる氏に関する資料を中心に、調布市ゆかりの作家に関する資料や日本のマンガ史上重要とされる作品、各時代を代表する作品など、資料的に価値が高いものを収集する。
- 分館では中央図書館で選定したものの中から各館の状況に応じて収集する。
- キ 外国語資料
- 民族的・言語的・文化的な多様性を持つ市民に対して、母語を考慮した資料を提供する。また、外国の言語と文化に関する知識を得ようとする市民に必要な資料を収集する。
- なお、外国語資料とは、出版地を問わず、外国語で記述された資料とする。
- ク 視聴覚資料
- 映画資料室と連携し、「映画のまち調布」として特色ある映像資料、音声資料を収集する。日本映画を中心に、映画史に残るもの、映画研究・映画制作に役立つ資料を収集する。
- 市民の生涯学習の一助となるもの、それぞれの分野で歴史的に評価の定まった作品や資料及び公立図書館として資料的価値が認められる資料を収集する。
- ケ 電子資料
- 電子化された情報をパソコン等で閲覧、印刷して利用する電子資料は、DVDや半導体メモリーなどに電子情報を蓄積して利用するパッケージ系電子資料とインターネットなどを経由して利用するネットワーク系電子資料がある。電子資料は、文中の任意の単語から検索できる、資料の保管スペースが少ない、文字を任意の大きさに拡大できる、ネットワーク経由で常に最新情報を入手できるなど、優れた特徴があるので、これらの利点を活用し、質の高いサービスが提供可能なものは、積極的に導入する。また、利用動向を把握し、一般向きで需要が高い電子資料を選定する。
- コ 利用支援サービス用資料
- 図書館資料をそのままでは利用できない市民に対して、利用できる形で提供する。
- 具体的には、大活字本、利用可能な形態に変換した点訳図書や録音図書、マルチメディアDAISY等、元の資料に手を加えることによって利用しやすくした点訳絵本や字幕付きビデオ等、障がいのある人のためにつくられた布の絵本やさわる絵本等があり、これらを収集又は作成する。
- サ その他
- アからコに掲げるもののほか、特色があり、必要と判断される資料は収集する。
- ア 図書資料
4 保存
将来にわたる利用に備えるため、必要な資料を保存する。
対象資料は、歴史的価値が高い資料、類書が少なく出版頻度が低い資料及び品切れ・絶版で入手が難しい資料とし、最低1冊は保存する。ただし類書があるもの、実用書はこの限りではない。
また、新聞、雑誌については、保存期間を別に定める。
5 除籍
市民の読書意欲をさそう魅力的な蔵書を保つために、資料の更新を行う。
除籍の対象は、頻繁な利用により汚れや傷みがはげしい資料、資料的価値が低下して利用がなくなった資料などとする。
このほかに、所在不明資料、回収不能な資料も除籍し、必要な資料は補充する。
また、新聞、雑誌については、保存期間が経過したものを除籍する。
6 リサイクル
除籍した資料のうち、再利用できるものは、学校などの団体や、図書館の利用者に無料で提供する。再利用できないものは、古紙リサイクル又は廃棄物として処理する。リサイクルに関する基準は別に定める。
「調布市立図書館資料の収集・保存・除籍に関する基本的方針」は「資料の収集・保存・除籍に関する方針」(平成元年7月1日作成)を改訂したものである。
平成24年3月31日
令和4年3月24日 改訂
令和5年3月31日 改訂